瀕死の会社を再生させるとき、小手先の策では焼け石に水。従来のビジネスモデルや戦略を大胆に見直す必要がある。メガネスーパーでは「レンズ代0円」からの脱却がその1つだった。

今月の一句
A0を決めた分岐の合宿よゼロ円決別さらば業界


(写真:鈴木愛子)
(写真:鈴木愛子)

 瀕死の会社を再生させるとき、小手先の策では焼け石に水。従来のビジネスモデルや戦略を大胆に見直す必要があります。メガネスーパーの場合、「レンズ代0円」からの脱却がその1つでした。

 そもそもメガネスーパーが苦境に陥ったのは、1990年代後半、SPA(製造小売り)型で、低価格とファッション性を武器にした新興眼鏡チェーンの台頭が大きな要因です。

 加えて、2000年代には「レンズ代0円」をうたうチェーンが現れました。通常、眼鏡の価格はフレームとレンズの料金の合算ですが、価格表示を「レンズ付きのワンプライス」にして、「レンズが無料で付いてくる」という見せ方にしたのです。気づけば、この売り方が業界の標準になっていました。

 自社製造ではなく、高コスト構造だった当社もこれに追従。当然のごとくどんどん利益を吐き出し、最後には債務超過に陥ったというわけです。

 私が社長に就任してから1年、改革の成果は少しずつ出始めましたが、それでもこのままでは到底戦えない状態でした。そこで打ち出したのが、技術力を強みに「眼鏡」より「眼の健康」を売るという戦略でした。この鍵となったのが、14年7月に実施したレンズの有料化。レンズ代0円からの脱却です。

 顧客から見れば大幅な値上げになりますから、「お客様が離れてしまう」と当初、社員からは猛反発を受けました。