多くの中小企業を顧客に抱える古田土会計の代表、古田圡満氏が、中小企業の社長が知っておくべき財務・経営の考え方を分かりやすく指南。経営計画書の重要な構成要素となる長期事業構想について解説します。

 経営計画書をつくる際、やはり重要な構成要素となるのが長期事業構想です。これは5年先、10年先の会社をどうしたいか、社長が考える会社の未来像であり、社員との約束です。

 本来は経営計画書において、社長の使命感や経営理念の次に、この長期事業構想を描く必要があります。次いで中期事業計画、単年度の利益計画とトップダウンで書くのが理想ですが、現実と乖離(かいり)したものになってはいけません。使命感や経営理念の部分ができたらいったん単年度の利益計画を立て、5年先の中期事業計画、最後に長期事業構想というようにボトムアップでつくるのがいいでしょう。

(イラスト/高田真弓)
(イラスト/高田真弓)

 長期事業構想は(1)社員の未来像、(2)組織の未来像、(3)事業の未来像について、はっきりとイメージできるように具体的に書きます。

 とりわけ重要なのが「社員の未来像」です。社員が知りたいことは何より自分たちの未来像ですから、ここには「社員と家族が幸せになるための処遇をどうするか」を克明に書いていくのです。社長が思う理想と、そこに手が届くか届かないかのギリギリの現実との境界を見極めて、可能な限り具体的・定量的に書きます。例えば給与水準、人事制度、雇用に関する考え方、福利厚生、定年後の第2の人生、持ち家制度、奨学金制度など。納得できるまで考え、推敲(すいこう)し、既にできていることも含めて具体化します。