本当に「部下のため」か
それまでの私はよく怒り、けんかしていましたが、危機を脱し、感謝の気持ちを持つようになってから、怒らなくなりました。
人がなぜ怒るのかと言えば、「不安」と「不満」があるからです。
例えば、「100万円しか売れていない」と怒っている人がいたとします。仮に「こうすれば、あと100万円は売れる」と分かっていたら怒りません。どうしたらいいか分からず不安だから、もっと言えば、自分に知識がなく、経験も不足しているから怒るのです。
不満に思って怒るのは、感謝の念がないからでしょう。「たった100万円しか売れていないのか」が不満、「100万円も売ってくれてありがとう」が感謝です。感謝の気持ちが強ければ不満は感じない。不満がなければ、怒りも生まれません。
「部下のためを思って怒っている」などと言いながら、ただ自分の不安と不満をぶつけているだけの人が少なくない。そんな怒りがパワハラを生みます。
時々、「厳しく怒って指導してもらったから、今の私がある」と言う人がいます。私に言わせれば、きちんと目線を合わせ、丁寧に優しく教えてあげたら、もっと成長したはずです。
私は怒ることを我慢しているわけでもないし、理想論を言っているわけでもない。一度しかない人生を有意義なものにしたいから怒らないと決めている。そのほうが得だからです。
私たちは何のために生きているのでしょうか。それは、幸せになるためです。もっと平たく言えば、笑顔でいたい、しかめっ面でいたくないからでしょう。怒りの感情から解放されれば、幸せに生きられるのです。
仕事の場面で考えてみましょう。怒っているときの生産性はどうでしょうか。怒り狂っているときにいいアイデアが浮かんでくるでしょうか。記憶しておきたい数字が頭に入ってくるでしょうか。
つまり、「怒らない経営」は、業績を効率よく上げるために合理的な方法でもあるのです。
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