企業にパワーハラスメント防止を求める「パワハラ防止法」。中小企業でも2022年4月から対応が義務化される。職場でパワハラが起きたら、職場の環境悪化、生産性の低下はもとより、金銭、信用、人材を失いかねない。どうしたら職場を守れるか。すべての鍵を社長が握っている。

<span class="fontBold">(右)「労働問題のプロ」向井 蘭[むかい・らん]<br>杜若(かきつばた)経営法律事務所弁護士</span><br>1975年生まれ。東北大学卒業。2003年に弁護士登録。杜若経営法律事務所所属(パートナー)。企業(使用者側)の労働事件を数多く扱う。『<a href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/4478109486/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o04_s00?ie=UTF8&psc=1%22">管理職のためのハラスメント予防&対応ブック</a>』などの著書がある(写真:菊池一郎)<br><br><span class="fontBold">(左)「怒らない社長」江見 朗[えみ・あきら]<br>ライドオンエクスプレスホールディングス社長</span><br>1960年生まれ。高校卒業後、米国で寿司職人として働く。92年サンドイッチ店を岐阜市内に開業。98年宅配寿司「銀のさら」に業態転換。全国にフランチャイズ展開し、急成長を果たす。2001年レストラン・エクスプレス(現ライドオンエクスプレスホールディングス)を設立。13年に東証マザーズ上場、15年東証1部に市場変更(写真:稲垣純也)
(右)「労働問題のプロ」向井 蘭[むかい・らん]
杜若(かきつばた)経営法律事務所弁護士

1975年生まれ。東北大学卒業。2003年に弁護士登録。杜若経営法律事務所所属(パートナー)。企業(使用者側)の労働事件を数多く扱う。『管理職のためのハラスメント予防&対応ブック』などの著書がある(写真:菊池一郎)

(左)「怒らない社長」江見 朗[えみ・あきら]
ライドオンエクスプレスホールディングス社長

1960年生まれ。高校卒業後、米国で寿司職人として働く。92年サンドイッチ店を岐阜市内に開業。98年宅配寿司「銀のさら」に業態転換。全国にフランチャイズ展開し、急成長を果たす。2001年レストラン・エクスプレス(現ライドオンエクスプレスホールディングス)を設立。13年に東証マザーズ上場、15年東証1部に市場変更(写真:稲垣純也)

<目次>
“寝てない自慢”もダメ? 恐怖の「無自覚パワハラ」チェックリスト
「私が怒るのは君のため」と言う上司が信用できないわけ(11月16日公開)


パワハラという現象だけを見ていたら、問題は解決しない。企業のハラスメント問題を数多く手がける「労働問題のプロ」、弁護士の向井蘭氏が豊富な事例から社長が取り組むべき対策を指南する。

管理職向けのパワハラ予防研修の講師をよく務めているそうですね。

向井:そのとき、まず取り組んでもらうのが、「職場環境チェックリスト」(下図参照)です。「自分や周囲の人に当てはまる」と言う人が多いですね。

無自覚にパワハラしていませんか?

「それ、パワハラですよ」と周りの人に言われたことはないだろうか。
パワハラが怖いのは、行為者に自覚がない「無自覚パワハラ」が多いことだ。
まずは普段の仕事ぶりなどを思い浮かべながら点検してみよう。

向井弁護士作成 職場環境チェックリスト
<span class="fontSizeL">向井弁護士作成 職場環境チェックリスト</span>
過去1年間に起きた出来事や、自らに当てはまる場合は「はい」にチェック。当てはまる項目が多いほど、パワハラをしている可能性が高くなる。10個以上だとアウトだ。
[画像のクリックで拡大表示]

 「はい」の数が多いほどパワハラの傾向があるということです。4個以下なら、あまり心配は要らないでしょう。5個から9個が黄信号、10個を超えていたら赤信号と言えます。

 一方で、「はい」の数に限らず、「部下を指導する際、物を投げたことがある」「部下を指導して部下が泣いたことがある」などの項目にチェックをしていたら、一発アウトです。

 これら30の質問に加え、新しい項目も考えているところです。例えば、「徹夜を自慢したことがある」とか。

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