今年8月、東京・中野に24時間営業する無人の古着店(写真)が開いた。経営者の柔軟な発想による同店は、人口減少時代の新しい売り方を示している。店員を増やす、営業先に何度も通うといった従来の売り方を見直し、人手をなるべく少なく済ませる効率的な売り方が今求められている。本特集では、コロナ下で加速する「売り方革新」の実像を探る。

(写真:尾関裕士)

<特集全体の目次>
・24時間、店員ゼロで売り上げを伸ばす古着店
・若手が提案、マーケティングオートメーションで古い営業を効率化
・営業担当は置かない。お客の側から注文が来る仕組み
・非対面で売る秘訣 「オンライン商談は嫌」と言われたら
・髙田明氏に聞く伝える極意「必要量の10倍情報を集めよ」(11月13日公開)


 リモートワークの拡大で、パソコンの画面上で顔を合わせて話せるオンライン商談システムを導入する企業が増えている。機械部品や水道部品などに使用されている銅合金素材メーカーである日本青銅(東京・荒川)もその1つだ。

 同社は今年5月から、オンライン商談システム「ベルフェイス」を導入。従来は全国の得意先を訪問する営業スタイルだったが、現在はすべてオンライン商談に切り替えている。

 これにより出張費が大幅に削減でき、平均すると月50万~60万円が浮いた。日本青銅の場合、初期費用20万円と月額費用4万5000円がかかったものの、「ほぼ1カ月でペイできた」と佐々木太志社長は話す。

 とはいえ、このシステムの導入には、取引先の協力が要る。こちらにいくらやる気があっても、相手に使ってもらえなければ意味がない。

 実際、日本青銅では5年前にオンライン商談システムを導入したが、取引先から総スカンを食らったという。「もともと業界のITリテラシーが高いとはいえず、やはり対面営業が一番、という感じだった」(佐々木社長)。

想定問答も用意

 そこで今回はオンライン商談のハードルを下げるよう、工夫した。いきなり「今度このシステムを導入したのでよろしく」で済ませるのではなく、まずは事前に案内メールを送ることにした。

実際に送った案内メール。最後まで読んでもらえるように、押しつけがましくない文面を心がけた(上)。佐々木社長は30歳。今年2月、5代目社長に就任したばかり。自身も営業出身だ(下)

 初めが肝心なので、売り上げ上位の重要顧客30社ほどをピックアップ。メールの文面は佐々木社長自身が考えた。通り一遍な事務的なものではなく、あえて感情に訴えることを心がけたという。

「訪問したいのはやまやまだが、今はどうしてもできない。難しいものではないので、一度試してみませんか」といった内容だ。

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