ぬまた・しょうじ
ぬまた・しょうじ
神戸物産創業者、町おこしエネルギー会長兼社長。1954年兵庫県生まれ、兵庫県立高砂高校卒業後、三越に入社。81年食品スーパー創業。フランチャイズ方式で「業務スーパー」を全国展開し、外食事業や全国に20を超える食品工場も運営。2012年、長男博和氏に社長職を引き継ぎ、CEOとして博和氏とダブルトップで経営を行う。16年、日本が抱える問題である食料自給率アップ、エネルギー自給率アップを大義名分とした町おこしエネルギー(兵庫県加古川市)を設立する(写真:松田弘)

 以前、ある人から「提携先の候補に自社の事業を理解してもらえない。どう交渉したらいいか」と聞かれました。相談相手の事業内容までは細かく聞きませんでしたが、こちらが丁寧に説明しても相手の理解を得られない場合は、「実績を見せる」しかないと思います。

 例えば、フランチャイズチェーン(FC)展開を計画し、加盟店を募るのであれば、何より「売れている店」を見てもらうのが早いでしょう。

最初は全く相手にされなかった

 業務スーパーは今でこそ、加盟店契約を希望する会社の申し込みが絶えませんが、創業当初は全く相手にされませんでした。

 当時から、少子高齢化、核家族化は確実に進んでいることを、誰もが認識していました。一般的には、家族向けのパッケージは減り、これからは個々人が気軽に買う「小さいものが売れるようになっていく」と考えられていました。業務スーパーは主に飲食店向けに大容量の業務用商品を売ろうとしていましたから、真逆です。

 前にもお話ししましたが、少子高齢化においては、1人当たりの食べる量が減る。核家族化では、両親ともに仕事や子育てで忙しく、買い物に行く頻度が減る。お客様はスーパーへ毎日買い物に行かなくなり、料理そのものへの関心も薄れていく。そんな中で、どんなスーパーがお客様に認めてもらえるのか。そこで私が導き出した結論は、「賞味期限が長いもの」、つまり冷凍食品でした。

 冷凍食品は大容量のパッケージでも、使いたい分だけ解凍して使えばいい。買い物の頻度も少なくて済むので合理的。今では調理済みの冷凍食品も多数あり、レンジで温めるだけで、バラエティー豊かな食事ができます。

 けれども、それを業務スーパー創業時の2000年、今から約20年前に、加盟店候補に説明しても、理解してもらえませんでした。そこで私は、FC展開をAタイプとBタイプに分けてスタートすることにしました。Aタイプは加盟店のオーナーさんが店舗探しから店づくりまですべてやるもの。Bタイプはそれらをすべて私ども神戸物産側がやる代わりに、倍のロイヤルティーを頂くものです。

 最初はAタイプで契約するところは1つもなく、Bタイプで6店舗まで増やしました。ただ、そこからはAタイプの契約が加速度的に増えていきました。それは、Bタイプで営業していた店の売れ行きを実際に見て、「これならいける」と判断してもらえるようになったからです。結局、Bタイプの6店も相手に買い取ってもらってAタイプになり、現在はAタイプしかありません。

 まさに「百聞は一見にしかず」。どれだけ説明しても理解を得られない場合は、「実績を見せる」しかないわけです。

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