今年8月、東京・中野に24時間営業する無人の古着店(写真)が開いた。経営者の柔軟な発想による同店は、人口減少時代の新しい売り方を示している。店員を増やす、営業先に何度も通うといった従来の売り方を見直し、人手をなるべく少なく済ませる効率的な売り方が今求められている。本特集では、コロナ下で加速する「売り方革新」の実像を探る。

(写真:尾関裕士)
(写真:尾関裕士)

<特集全体の目次>
・24時間、店員ゼロで売り上げを伸ばす古着店
・若手が提案、マーケティングオートメーションで古い営業を効率化

・営業担当は置かない。お客の側から注文が来る仕組み
・非対面で売る秘訣  「オンライン商談は嫌」と言われたら
・髙田明氏に聞く伝える極意「必要量の10倍情報を集めよ」(11月13日公開)


 「今までのような営業のやり方では、自分はもう続けられません」

 梱包資材の設計、販売を手がけるトヨコン(愛知県豊川市)の浦部将典人事広報課長は2014年に営業部に配属になって2カ月で仕事の壁に突き当たり、上司にこう打ち明けた。

 このときの思いをきっかけに、浦部氏は、営業の効率化を進める旗振り役となっていった。

明石社長(左)と、MA導入のきっかけをつくった浦部氏(写真:堀 勝志古)
明石社長(左)と、MA導入のきっかけをつくった浦部氏(写真:堀 勝志古)

昔ながらの営業に限界

 トヨコンは、1964年に複写機の梱包を請け負う会社として設立。その後、段ボールなどの梱包資材販売やトラック運送などに業務を広げて成長してきた。

 ところが、バブル崩壊後、複写機生産の海外移転が進んで主力得意先からの梱包受注が激減した。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1675文字 / 全文2289文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「日経トップリーダー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。