あなたの売り方は今後も通用するか

 コロナ禍による外出自粛や支出削減で、2020年の日本の実質GDP成長率は、国際通貨基金(IMF)の推定によるとマイナス5.3%に落ち込みそうだ。

 しかし、感染が拡大する前から、人口減少による市場縮小という大きな変化は着実に進んできた。

 中堅・中小サービス業の生産性に詳しい内藤耕氏が作成した下のグラフを見ると、その実態が分かる。今は需要を支える総人口、労働力を支える生産年齢人口の両方が急速に減少していく時代だ。

人海戦術の営業は成立しない時代
日本の生産年齢人口と総人口の推移
<span class="fontSizeM">人海戦術の営業は成立しない時代</span><br><span class="fontSizeXS">日本の生産年齢人口と総人口の推移</span>
※「国勢調査」(総務省)や「日本の将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)を基に内藤耕氏が作成
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 コロナ禍は、対面で接客することの転換を迫るだけではない。成長市場を前提とし、人手をかけて売るという従来の売り方の見直しを中小企業経営者に迫るきっかけと考えるべきだろう。

 前出のムジンノフクヤのような人手をかけずに長時間営業するスタイルは、新しい売り方のヒントにあふれている。今の消費者はネットで商品情報を検索して品定めをする。店員が「似合いますよ」などと薦めても警戒されてしまう。店員がいないことは、顧客が店に気兼ねせずじっくり商品を選べるメリットになる。

 これはBtoBの市場でも同じことだ。かつては、人海戦術で営業して売り上げを確保する「数打てば当たる」式でも成果を上げられた。しかし、市場も労働人口も縮む中では効率が悪く、こうした売り方は難しい。

 しかも、訪問先の担当者はあらかじめネットなどで情報を得て商談に臨む。リアルかオンラインかを問わず、場当たり式の営業は通用しない。売る側が相手の欲求を理解した上で、商品の良さを的確に伝えられる新しい仕組みをつくることが求められている。

 あなたの会社の売り方はこれからも通用するのか。次回から紹介する事例と比べて考えてほしい。

(この記事は、「日経トップリーダー」2020年11月号の記事を基に構成しました)

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