店内の天井に防犯カメラを取り付け、さらにその撮影動画をモニターに表示してお客の目に入るようにしている。人が頻繁に行き来する商店街に位置し、かつ道路側が全面ガラス張りの空き店舗に出店することで、人の目にさらされやすくする工夫も。

 アナログな取り組みながら万引きの抑止力を働かせる工夫が奏功し、「万引きの被害は、開店前の想定よりかなり少ない」(平野社長)という。

 お客は欲しい古着を自由に選び、更衣室で試着することもできる。買いたいものが決まったら、その古着が掛かっているハンガーの色を確認する。

価格をハンガーの色で示し、セルフ精算を容易に
ムジンノフクヤでの購入方法
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①価格はハンガーの色で示す②お客は古着の価格に応じたチケットを自動販売機で購入する③防犯カメラの撮影動画を店内のモニターに常に映して、万引きの抑止力を働かせる(写真:尾関裕士)
①価格はハンガーの色で示す②お客は古着の価格に応じたチケットを自動販売機で購入する③防犯カメラの撮影動画を店内のモニターに常に映して、万引きの抑止力を働かせる(写真:尾関裕士)
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 色は商品の価格を示し、500円から5000円まで7段階に分かれている。例えば500円は白、2000円は赤といった具合だ。お客はその色に対応した金額分のチケットを自動販売機で買い、選んだ古着を購入する。

 品ぞろえは男女両方に対応するが、3対7で女性用が多く、実際の客層も20代前半から40代までの女性が多い。買う手順を説明した案内が掲げられており、ほとんどのお客が問題なく購入できているという。

 店の販売スタッフは常にゼロで、2、3日に1回、商品の入れ替えや清掃をするだけで済むため、浮いた人件費などのコストを価格に反映させられる。「ネット通販の相場に比べて、2、3割程度安い値づけができている」と平野社長は話す。

リメイクで高収益体質に

 店員の目を気にせず自由に買えることもあって、お客の満足度は高い。お客が店への要望を書き込めるノートを置いているので、品ぞろえへの反映も可能だ。

 平野社長は「10畳ほどの小規模なこの店は、実験的に始めたようなもの」というが、売り上げは想定の3~5倍あり、開店1カ月目から黒字となった。

 さらに、平野社長は次の展開に向けて動き出している。無人という特色はお客にすぐに飽きられる上、オープンしたてなので低価格路線により集客力を高めているものの、このままでは販売効率が悪いと考えているからだ。

 今後、力を入れようとしているのが古着にリメイク加工のひと手間を加えて販売する高付加価値戦略。接客でお客にアピールできない分、商品そのものの価値で勝負する考えだ。

 現在は陳列する古着約300着のうち、10着ほどを知り合いのデザイナーにリメイクしてもらっている。この割合を7割程度まで引き上げ、商品単価や利益率を高めたいと話す。

 従来の小売店は品ぞろえを含めた商品力と、その魅力を伝えるスタッフの接客力の掛け合わせで売り上げを伸ばした。しかしムジンノフクヤは、スタッフの接客力がゼロでも利益をつくれることを証明。店員の視線を気にせず、納得いくまで商品を選べる自由度の高さでお客の支持を得ている。