水泳用品や介護用品、学校向け商品などの企画製造を手がける。創業時はゴム布製品を製造。近隣住民の声から大人用おむつカバーを初めて作った。部門と全社の状況を月次決算で見える化。新商品開発に全社員が取り組む。

三瓶 芳(さんべ・かおる)
三瓶 芳(さんべ・かおる)
1958年島根県生まれ。80年、株式会社磯部(現・フットマーク)に入社。2012年から現職(写真=都築雅人)

水泳帽やプールバッグ、水着など水泳用品を長く手がけています。介護用品の開発も歴史があり、「介護」という言葉を考案したのは磯部成文会長なんですね。

フットマークの本社。1946年、東京・墨田で創業した(写真=都築雅人)
フットマークの本社。1946年、東京・墨田で創業した(写真=都築雅人)

三瓶:創業時はゴム引きの防水布を使ったおむつカバーなどを作っていました。たまたま近所に住む方から「お義父さんのために大人用を」と言われて大人用のおむつカバーを作ったのが介護用品の始まりです。

はっ水性や防水性のある素材などを使った多様な商品を提供しています。事業ごとの売り上げはどのような構成比率ですか。

三瓶:水泳関係が約8割、介護が1割、その他が1割くらいです。

 水泳用品は競泳、フィットネス、学校関係と3つの柱がありますが、学校関係が大きく、7割ほどです。

コロナで商品開発を加速

水泳用品は特にコロナ禍で大きな影響を受けたそうですね。

三瓶:コロナ禍の最初の年は、まずフィットネスクラブの営業が中止になり、その後に量販店や百貨店のスポーツ用品売り場が閉まっていって、さらに学校の水泳の授業自体がなくなりました。

 2021年度は徐々に水泳関連の売り上げが戻って約6割、今年でようやく9割です。

 コロナ禍を機に、世の中に必要とされるものが当社として提供できているのか見直し、新規事業の組織としてマスクなどを提供する健康衛生事業部と、アウトドア用品が中心のライフスタイル事業部を立ち上げました。

 コロナ禍の最初の頃、スポーツクラブのお客様から「マスクがない」という声を聞きました。不織布のマスクは水にぬれると1度で使えなくなります。そこで、プールサイドでも使えるマスクを作りました。他にも温泉で使えるマスクや、学校の部活動の時に使えるマスクなどを作り、最初の年だけで60万枚ほどを売り切りました。

 学校向けには水泳用品以外にも、困り事を解決できるような商品を作りました。例えばリコーダーの授業で、飛沫を防ぐため生徒が吹かずに指だけで練習をしていると聞き、吹いて音を出しても飛沫が出ないリコーダー用カバーを開発しました。現在、100校以上で採用されています。

「誰かの困り事」に対応

新しい商品を作る際はどのようにニーズを調査するのですか。

三瓶:調査というより、誰かに困り事を伺ったら、売れるかどうかはおいて、まずその人に必要とされるものを作ってみるのが当社のスタイルです。社内では「1分の1のものづくり」と呼んでいます。

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