『嫌われる勇気』の著者で、哲学者の岸見一郎氏がリーダーのあり方を説く連載の第45回。今回のキーワードは「嫉妬」。哲学者の三木清は嫉妬を「悪魔に最もふさわしい属性」と容赦なく否定する。どうすれば嫉妬心をなくせるのか。

 哲学者の三木清がこんなことをいっています。

「同じ職業の者が真の友達になることは違った職業の者の間においてよりも遥かに困難である」(『人生論ノート』)

 同業者とは理解し合える反面、業績を比較して競い合うことも多いでしょう。なごやかに談笑していても敵愾(てきがい)心を燃やしていたり、相手の偉業をほめそやしていても腹の底では嫉妬していたりします。

 三木は嫉妬は「悪魔に最もふさわしい属性」である、なぜなら「狡猾に、闇の中で、善いものを害することに向って働くのが一般であるから」(前掲書)と容赦なく否定します。嫉妬のどこが問題なのか、どうすれば嫉妬心をなくせるか考えてみましょう。

 誰に対しても嫉妬するわけではありません。

「嫉妬は自分よりも高い地位にある者、自分よりも幸福な状態にある者に対して起る。だがその差異が絶対的でなく、自分も彼のようになり得ると考えられることが必要である。全く異質的でなく、共通なものがなければならぬ」(前掲書)

 嫉妬する相手は自分の手が届かなければならず、自分の足元にも及ばないようなあまりに優れた人は嫉妬しないということです。

「しかも嫉妬は、嫉妬される者の位置に自分を高めようとすることなく、むしろ彼を自分の位置に低めようとするのが普通である」(前掲書)

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