マスクの大増産で注目されるアイリスオーヤマ(仙台市)。「ピンチが必ずチャンスになる経営」を実践し、今期の売上高は前期比2000億円増の7000億円になる。
大山健太郎会長が、その経営手法を余すことなく記した最新刊『いかなる時代環境でも利益を出す仕組み 』では、効率偏重の従来の「経営の王道」を次々に覆している。同書から、真に強い会社をつくるエッセンスを抽出した。

アイリスオーヤマ会長。1945年生まれ。大阪で父親が経営していたプラスチック加工の大山ブロー工業所(1991年にアイリスオーヤマに社名変更)を、父の死に伴って64年、19歳で引き継ぐ。経営者を56年間と長きにわたり務め、生活用品メーカーからLED照明・家電メーカーに業容拡大。2018年会長就任(写真/尾苗清)
・アイリス・大山健太郎会長が猛省したマネジメントの「欠陥」
・製品開発力が足りない? ならば全員参加の開発会議を社長が毎週回せ
・ユニクロとアイリスの共通点に学び、流通の主導権を握れ
・「稼働率7割以下」が成長には最適 アイリス流・瞬発力経営の極意
・会議を休むには社長決裁が必要、アイリスの掟
・発売後3年間、アイリスの開発担当社員が収支を見る理由
アイリスオーヤマの利益管理力
発売後3年間、開発担当社員が収支を見る
新製品をフルスピードで出しながら、一定の利益を確保するには「正確な利益管理」と「確実な計画実行」の仕組みが欠かせない。アイリスでは、明解な根拠がないのに確からしい予測は不可能という理由で、中長期の目標は立てない。対して、予測できる近距離のことは徹底的に細かく管理する。
アイリスでは、発売3年以内の新製品が営業利益ベースで10%以上の利益を出すことを狙う。特徴は、開発担当社員が製品の発売以降も利益管理をする点だ。
「利益管理を事業責任者や営業担当者が担うと、目標に達しない場合に、『製品が悪いからだ』と開発のせいにしがち。責任転嫁は組織運営上の大きなロスだ。社内の力をストレスなく需要創出・利益創出に連結させるには、開発担当者に利益管理をしてもらうのがベスト」と大山会長は強調する。
開発は作る人、営業は売る人、製品の利益管理は管理職の仕事。そんな業務分担が、これまでの「経営の王道」だろうが、アイリスはその常識にも切り込む。
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