「管理職になりたくない」という若手社員が増えている。出世をモチベーションに努力してきた「昭和世代」からすれば、理解し難く、困惑する。現場のリーダーである管理職がいなければ、組織は回らない。なぜ今どきの若者は昇進を嫌がるのか。その理由を解明しつつ、若手社員が積極的にリーダーを務めている企業のケースや、識者のコメントから「管理職になりたくない症候群」への処方箋を示す。

(イラスト/PIXTA)
(イラスト/PIXTA)

<特集全体の目次>

・昭和世代は驚愕!? 若者の83%が「出世は勘弁」

・「それなら頑張るか!」ヤッホーの思わず出世したくなる仕組み(11月8日公開)

・昇進の“報酬”は社長並みの強い権限(11月9日公開)

・中間管理職が1人で何役もこなす時代は終わる(11月10日公開)


若手社員アンケート
「管理職になりたくない」が83% 報酬と仕事量が見合わない

 昇進を拒否する若者が増えているというのは本当か。真偽を確かめるべくアンケートを実施し、彼らの本音をまとめた。事業存続のため、企業は本気で対策を練る必要がありそうだ。

「管理職になりたくない」若手社員が83%──。“昭和世代”にとっては衝撃の結果かもしれない。「誰もが偉くなりたいはず」というのは、若者にとっては時代遅れの価値観。全員が出世を目指すことを前提にさまざまな制度をつくっている上層部を、多くの若い社員は「昭和の幻想から抜け出せていない(東京・35歳・医療・福祉)」と思っている。

 これらは、本誌が実施した昇進に関するアンケート結果の一部だ。中小企業に勤務する、役職に就いていない正社員20代、30代の男女200人が対象だ。

「管理職になりたいか」を聞いたところ、全体の83%が「いいえ(なりたくない)」と回答。その割合を男女別に見ると、男性(74.7%)、女性(90.4%)。年代別では20代(82.0%)、30代(84.0%)と大きな開きはない。今の若者の多くは性別、年代を問わず、管理職にはなりたくないのだ。

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