特殊カメラ用レンズなど光学・映像機器メーカーの武蔵オプティカルシステム。経験豊富な技術者を擁し、先進的ものづくり企業として認知されていたが、先行した研究開発投資で負債が急増、コロナ禍の影響で一気に暗転した。

武蔵オプティカルシステムの本社が入居していた建物(さいたま市)
武蔵オプティカルシステムの本社が入居していた建物(さいたま市)

 8月2日、さいたま市に本社を置く光学・映像機器メーカーの武蔵オプティカルシステムは、さいたま地方裁判所から破産手続き開始決定を受けた。

 同社は高精細化が進む放送や映像用に使われるカメラレンズやプリズム、映像関連機器の設計から製造、販売、サポートまで手がける国内では数少ない1社として、プロの間では知られていた。

 数年来の取引があるという企業の経営者は「協力会社から『武蔵さんと連絡が取れない』と7月11日に知らせを受けた」。この日、最後の頼みとして銀行からの回答を待っていたつなぎ融資が通らず、事業の継続を断念した。負債額は約17億8000万円、債権者数は230人を超える。

 武蔵オプティカルシステムは、大手光学メーカーを定年退職した技術者を積極的に採用し、ベテランの技術の継承に取り組んできた。革新性ある製造業として、埼玉県「彩の国工場」「さいたま市リーディングエッジ企業」、経済産業省「地域未来牽引企業」などに認定され、各種受賞歴もある。技術的に評価されていたが、コロナ禍以降の急激な逆風に耐えられなかった。

早期退職して起業

 さいたま市を中心とした埼玉県内には、古くから光学機器関連の製造業が多く存在する。

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