前回「なぜ、今、中国で「フライングディスク」が人気なのか」は、次に来るビジネストレンドを分析・予測するためのポイントとして、「必要性」「可能性」「話題性」という3つを挙げました。僕も日々の情報収集の中で常にこの3つを意識しながら、ビジネスの大きなトレンドを見逃さないように心がけていますが、個人的にこの3要素を満たすトピックでは、「副業」も気になっています。

 そこで今回は、中国の副業事情を紹介しつつ、経営者として副業解禁によってビジネス環境がどう変わっていくのか、そしてその変化をどう活用していくかを考えていきたいと思います。

「容認」は半数超え

 副業を解禁する企業は年々増えています。厚生労働省は2018年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」のモデル就業規則から副業禁止の規定を削除。今年7月の改定では、副業・兼業に関する情報の公表を推奨しました。

 パーソル総合研究所が21年3月に実施した副業に関する調査によれば、自社の正社員の副業を容認している企業の割合は55%で、半数を超えています。この流れは止まらず、副業を認めている企業が主流になるのも時間の問題ではないかと、僕は考えています。

 その理由を、必要性、可能性、話題性という3つの視点から分析してみます。

 まず「必要性」から。日本は今、労働人口が縮小しており、人手不足の状態です。21年の日本の労働人口は6860万人で2年連続の減少となり、30年には労働需要に対して644万人の不足が発生すると予測されています。

 このほか、従来の年功序列・終身雇用を前提とする雇用制度では、人材の流動率が低く、新卒の一括採用習慣が若い人の起業意欲を抑制している課題もあります。

 こうした状況下、僕は副業や兼業というかたちで、優秀な人材を大手企業から放出し、労働市場を活性化させる必要があると考えています。

 企業としては、コロナ禍で落ち込んでいる業績をカバーし、経営を安定させるためにも、他社で副業をしている優秀な人材の活用は検討したいところです。

 自社の従業員の副業の容認については、離職防止につながるでしょう。従業員は余剰時間を自由に活用し、収入を補填することができるからです。

 働き方改革が進む中、残業で稼いでいた人たちの収入は減っています。さらにコロナが重なり、収入減を余儀なくされている人も少なくありません。副業は企業にとっても、従業員にとっても有用な手段になっているのです。

 2つ目の「可能性」の点では、副業のハードルが下がっていることが挙げられます。コロナ禍でリモートワークが世界中の企業で受け入れられ、今は場所、それこそ国境も制限されずに、副業ができるようになりました。越境人材の副業採用で、労働力不足の緩和と人件費削減を検討する時代になっています。

 3つ目の「話題性」では、「副業元年」と言われた18年から副業を解禁する企業が増え、IT・通信系だけではなく、銀行、証券会社のほか、製造大手による解禁発表も相次いでいます。「副業」はまさに人材市場のホットトピックになっています。

 日本の高度成長期は、「電気洗濯機」「電気冷蔵庫」「白黒テレビ」が「三種の神器」と言われましたが、今後、雇用の分野においては、「副業」「兼業」「越境」を三種の神器と呼んでもいいかもしれません。この3つをしっかり押さえて業績を伸ばした企業が、世界をリードしていくことになるでしょう。

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