ぬまた・しょうじ
ぬまた・しょうじ
神戸物産創業者、町おこしエネルギー会長兼社長。1954年兵庫県生まれ、兵庫県立高砂高校卒業後、三越に入社。81年食品スーパー創業。フランチャイズ方式で「業務スーパー」を全国展開し、外食事業や全国に20を超える食品工場も運営。2012年、長男博和氏に社長職を引き継ぎ、CEOとして博和氏とダブルトップで経営を行う。16年、日本が抱える問題である食料自給率アップ、エネルギー自給率アップを大義名分とした町おこしエネルギー(兵庫県加古川市)を設立する(写真:松田弘)

 私は日本がまだ貧しい時代に幼少時代を過ごしました。井戸で水をくみ、まきを割って釜で米を炊く生活から、日本は急成長していきました。その過程とともに育ったものですから、日本をここまで成長させた先人の方々には、何より感謝の念が強い。私より年上の偉大な経営者たちの訃報が届くと、いつも心が痛みます。

 感謝の念で言えば、私が特に感謝をしているのは両親です。両親については、父は「最も尊敬している人」で、母は「最も大好きな人」です。

 父はバスやトラックで木材を運び、タクシードライバーとしても稼いでいましたが、気質はとにかく豪快。2人がかりで持ち上げる材木も、軽く1人で持ち上げる腕っぷしを持ち、酒にめっぽう強く、賭け事も大好きでした。

 その上、頭も切れた。もちろん欠点もたくさんありましたが、私から見て「すごい人」だったことは間違いありません。

父を見て「賭け事はしない」

 そんな父の姿を見ていて決めたことが1つあります。それは、基本的に「賭け事はしない」こと。

 子供の頃、あの頭の良い父が、賭け事で負けて帰ってくる姿をよく見ていたからです。賭け事はそれなりに強いと評判の父なのに、です。父で勝てなければ、私に勝ちようがありません。ですから、「ギャンブルで勝つ」という思考は、幼少期からなくなりました。

 ギャンブルは、戦略性、緊張感、高揚感、達成感など、人を引きつける要素がとても多く、はまる人がいるのもうなずけます。けれども、それらは企業経営でも得られます。幼少期から父のそばにいたため、ギャンブルは人並みにできますが、基本的に「やらない」のはそれもあります。

 お付き合いですることはありますが、ギャンブルで儲かったカネは、必ずその場でゼロにします。例えば競馬で大金を得ても、最後はそれを全部掛けてゼロにする。

 「沼田さん、何であんなもったいないことするの? あそこでやめていたらよかったのに」と言われますが、あえて負けるようにしているのです。

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