新型コロナウイルスの拡大で業績低迷に悩む経営者は多い。一方で、「不況期こそチャンス」と、投資を積極化する経営者がいる。なぜ、不況期に投資をするのか、それによりどれだけ企業力を伸ばし、他社に先行することができるのか。不況期に攻めの手を打ち続ける経営者の考え方を聞いた。

(写真:PIXTA)

<特集全体の目次>
・M&A、新規事業、設備・人材投資。不況期こそ競合に差をつける
・「新規事業こそ次の不況の備え」ヤマチユナイテッドグループ 山地章夫代表
・「同じ品質が安く手に入る」井口一世 井口一世社長
・樹研工業社長が父に学んだ考え方「不況期は『宿題』に取りかかる」


 金属の精密加工を手がける井口一世(いぐち・いっせい)(東京・千代田)。試作品や特注品など、要求精度が高い特殊な製品を主力としているため、コロナ危機下にあっても業績は前年比で伸びているという。

いぐち・いっせい
1955年生まれ。1978年に立教大学経済学部を卒業。2001年に井口一世を創業。「金型レス」「切削レス」を掲げ業績を伸ばす。社長職を務めながら大学院に通い、09年に東京農工大学修士課程を修了。経済産業省の「地域未来牽引企業」に選ばれるなど表彰も多い(写真:菊池一郎)

 目下、井口一世社長は、新工場を建てるための工場用地を探している。埼玉県所沢市にある現在の工場敷地は約1100坪。将来の成長を見越して、今は3000~5000坪の土地を探している。

 今の敷地が手狭になり始めた矢先に、コロナ不況が起き、不動産価格が下がる兆しも見える。井口社長にとっては買い時だ。融資を受けている金融機関などから具体的な案件が既にいくつか提示されているという。

 現在の年商は100億円を超えているが、創業は2001年と比較的新しい。高い付加価値を武器に、価格競争に巻き込まれない技術を持とうと、機能拡張の余地が広い欧州製の高額設備を当初から導入。それをさらにカスタマイズして品質を追求するのが井口社長の経営手法だ。

続きを読む 2/4 金型使わない加工法確立

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