新型コロナウイルスの感染拡大で苦境に陥った企業向けの実質無利子・無担保融資の返済が本格化してきた。だが、業績が改善せず、返済はおろか破綻に追い込まれる中小企業が急増している。その裏には政府の様々な対策で延命だけをしてきたゾンビ企業の存在がある。売上高を増やせない環境の中でも再生に動く企業の姿を追った。

(写真/GettyImages)
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 東京都心から西へ20分ほど。JR中野駅にほど近い住宅街の一角に、その会社はあった。

 アイデポート。商業施設向けに壁紙、床材など内装材の販売と施工を手がけていた中小企業である。この会社が今年5月、東京地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けた。負債総額は約8億8000万円。新型コロナウイルスの感染拡大で受注が減少し、金融機関からコロナ関連融資を受けたものの力尽きたとみられる。

 今、新型コロナの関連倒産が急増している。

 帝国データバンクの調べによると、コロナ融資を受けた企業の倒産は、コロナ関連融資が始まった当初の20年後半では毎月2〜4件程度だった。昨年はやや増え同15件前後だったが、今年3月に40件と急増し、5月には43件に達した。上期全体では計182件と、21年の166件を超えて、感染拡大が始まって以降で最多となった。8月も34件となっており、勢いは止まっていない。

破綻が急増している
破綻が急増している
コロナ関連融資を受けた後に倒産した企業の件数 出所:帝国データバンクの資料を基に本誌作成

 新型コロナ関連融資とは、政府系の日本政策金融公庫、商工中金や民間金融機関による「実質無利子無担保、3年間据え置き」などのゼロゼロ融資と呼ばれるものだ。ほとんどの融資には信用保証協会の保証が付けられているが、その保証額が20年から急増しているのは、その表れだ。

コロナ融資で一気に跳ね上がった
コロナ融資で一気に跳ね上がった
信用保証協会の債務保証残高推移 出所:全国信用保証協会連合会のデータを基に本誌作成
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 据え置き期間は、1年か2年が大半で、2年の場合、今年3月頃から期限となったケースが多く、返済が始まった途端に事業に行き詰まる企業が少なくないようだ。

 アイデポートは、倒産時の社長、A氏の父親が1974年4月に創業し、中小ながら施工能力の高さで業界大手の内装設備会社からも直接受注する“有力企業”だったという。帝国データバンクの調べによると、売上高は2007年7月期には約12億円に達し、新型コロナの感染拡大前の19年7月期も約8億2500万円を計上していた。

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