(写真:鈴木愛子)
(写真:鈴木愛子)

 『菜根譚(さいこんたん)』という中国の明代末期に著された本がある。書名の由来は、宋代の汪信民(おうしんみん)の「人、常に菜根を咬(か)みうれば、即(すなわ)ち百事なすべし」から採られている。

 つまり「堅くて筋っぽい野菜の根っこを食べるような貧しい生活を経験し、人生の艱難辛苦(かんなんしんく)を乗り越えてきた人は、人生を深く知り、人物に味がある。そのような人が語った処世の知恵噺(ばなし)」といった意味合いのタイトルになっている。

 これを聞いて、さぞかし難しそうな本かと思えば、さにあらず。どのページを開いても、賢く世の中を生き抜くための考え方や事例が満載だ。著者の洪自誠(こうじせい)は儒教・仏教・道教の古典全般に精通している。そのため、自由自在に幅広く、かつ具体的に世情を俯瞰(ふかん)する眼力を備えている。原文は難しい漢字が多いため、僕は現代語訳を楽しみながら読んでいる。

 僕の20代は、日夜牧場で種豚の世話に追いまくられていた。特に母豚は、静かで落ち着く夜中に出産することが多い。そこで豚舎に寝袋を持ち込んで、お産と哺乳の介助をするのが常であった。

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