コロナ禍で各企業の業績が苦しくなる中、気をつけなければならないのが、顧客の業績不振や倒産で債権が焦げつくことだ。これを防ぐためには、日ごろからの用心、備えが欠かせない。本特集「危ない会社の見分け方 与信管理で債権の焦げつきを防ぐ」では、危ない会社の見分け方を整理し、不測の事態に陥りにくくする方法をお伝えする。


(写真/PIXTA)
(写真/PIXTA)
<特集全体の目次>
・コロナ禍の与信管理、3日以内の催促をルール化
・朝礼で毎日入金を確認、すぐに対応して焦げつき防ぐ(10月5日公開)
・与信管理で「まさか」に陥らないためのノウハウ(10月6日公開)



ケース 1
3日以内の催促をルール化


 与信管理がきちんとしているといわれる会社は、どのような仕組みを導入して、債権の焦げつきを防いでいるのか。独自のルールを取り入れている事例を紹介する。

 「新規客を開拓する際、信用調査会社の評点が49点以下の会社とは基本的に取引しない」。西日本で食品パッケージのラベル印刷などを手がける売上高90億円規模のA社のB社長はこう話す。

 A社がこうしたルールをつくったのは10年ほど前のこと。ルール化した理由は、与信管理がずさんで痛い目に遭ってきたからだ。顧客数を増やすために支払い条件が悪くても取引をした結果、300万円、400万円の焦げつきを幾度も経験した。

 食品パッケージラベルの納入先は小口に分散している。取引口座数は約5000。このうち、絶えず動いているのは1000で、債権が焦げついたとしても通常なら数十万円程度で済む。だが、与信管理がいい加減で焦げつきが膨らんだ。

 これを当時社長であった父親の下で、営業(与信)管理担当役員になった現B社長は問題視。ルールをつくって改善することにした。

 与信管理では信用調査会社による企業の評点が客観的なデータとして参考になる。危ない会社かどうか、目星をすぐつけられるからだ。そこで、A社では評点を軸にルールを決めた。

保証サービスも併用

 既存の取引先からの紹介など、例外的に49点以下でも対応することもあるが、そうした場合で大口取引の際には、危機管理のために「保証ファクタリング」サービスを使う。

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