老朽化した地方の団地の再生プロジェクトに取り組む東邦レオ。UR都市機構や市と共に目指すのは「サスティナブル・ コミュニティ」。本業の緑化事業を脱皮し、社会課題解決型のビジネスに力を入れる。
(構成/尾越まり恵)

1978年生まれ。2001年東邦レオに入社。12年に集合住宅の植栽管理とコミュニティー形成をサービスにしたGreen×Town事業を立ち上げる。18年から団地再生事業に取り組み、20年に福岡県宗像市日の里団地の再生プロジェクト「さとづくり48」の共同リーダーに就任
福岡県宗像(むなかた)市で取り組んでいる街づくりが注目を集めています。どんなプロジェクトですか。
吉田:宗像市は福岡市と北九州市の中間に位置し、両市のベッドタウンとして発展してきました。その宗像市に「日の里団地」という大きな団地があり、ピーク時には約2万人が暮らしていたんです。
でも開発から50年たち、老朽化や高齢化が課題となり、一区画の解体が決まりました。そこで団地を運営するUR都市機構と宗像市、そしてハウスメーカーなど10社が手を組んで、団地再生を軸にした地域活性化を目指して「さとづくり48」プロジェクトを発足しました。その10社の中に、東邦レオが入っています。
東邦レオはどのような役割を担っているのですか。
吉田:全68棟ある団地の中で老朽化した10棟のスペースに、来年以降、戸建て住宅が64戸建つ予定です。解体するのは9棟で、1棟を残します。そこが48号棟なので「ひのさと48」と名づけ、「生活利便施設」として、我々が運営・管理を担っています。
また、戸建てもただ碁盤の目に建てるのではなく、庭をシェアして、住民みんなでバーベキューやボール遊びができる共有スペースを作る予定です。小さな里山のようなイメージですが、その企画設計も請け負っています。
東邦レオは1965年に橘俊夫会長の父が設立した。もとはパーライトという土壌改良材を扱う会社だったが、住宅の外断熱システム、屋上緑化、都市緑化へと事業を拡大。最近は吉川稔社長(下写真)の下、街や集合住宅のコミュニティーづくりにも力を入れている。本社は大阪市、売上高約60億円、従業員は約230人

暮らしをつくる

建物を新しく建て替えるだけでなく、新しいコミュニティーをつくっていく。
吉田:建物を新しくするだけでは50年後にまた、高齢化など同じ問題が起きてしまいます。プロジェクトのコンセプトは「サスティナブル・コミュニティ」。ここに住む人には、単に家を買うというより、ここの暮らしを気に入って買ってほしいと思っています。
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