マンションやビルの給水・給湯用の樹脂製配管で国内有数の会社。その経営理念は「企業は地元の雇用のためだけにある」。自宅にいながら工場を回せるリモート勤務を整え、雇用機会をさらに広げる。

(聞き手 ・ 本誌編集長 北方雅人)

川戸 俊彦[かわと・としひこ]
カワトT.P.C. 社長
(写真/橋本正弘)
(写真/橋本正弘)
1953年京都府生まれ。高校卒業後、自動車メーカーを経て、89年川戸鉄工を創業。その後分社した会社を2014年に合併し、カワトT.P.C.を設立

「企業は地元の雇用のためだけにある」と経営理念で言い切る経営者は珍しいと思います。

川戸:企業は何のために存在しているのかと言ったら、雇用の拡大でしかないというのが、私の考えです。私たちが今こうして生活できているのは、昔の人たちが孫の代やその先の未来のことを考えて、産業を興してきたからです。

 中でも、資源のない日本はものづくりを磨いてきました。私たちは先代同様、未来のために技術を残さなければならないのに、人件費の安い海外に工場をみんな持っていった。その国で売るならまだ構わない。そこに住む人たちの生活が豊かになる手助けをできるなら、私たちも幸せです。

 けれど、単にコストのことだけを考えて、作ったものを日本に持ってきたらどうなるか。海外では一時的な雇用を生むだけ。日本では「商品が安くていいねえ」と言っている間に、製造業が次々に消えた。このままでは、日本でものづくりの技術が途絶え、何も作ることができなくなります。

 「設計・企画部門を日本に残せば企業競争力も雇用も大丈夫」と言う人がまだいますが、昨今の半導体不足を見れば分かるように、目先の利益だけを考えた、そんな身勝手な分業は続きません。

カワトT.P.C.の概要

本社 山口県岩国市

創業 1989年

売上高 49億円(2021年3月期)

社員数 358人(2021年7月現在)

事業内容 住宅向け給水給湯の樹脂製配管、金属加工製品(上写真)などの製造。女性が活躍できる職場づくりに対する評価は高く、国や県などからの受賞多数

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