神奈川県や東京都で一軒家やアパートの建設を手がけていたエンゼルホーム。投資用不動産の建築と販売で急成長するも、収益性は低かった。外注先による工事遅れをきっかけとして自己破産した。

<span class="fontBold">エンゼルホームの本社の入り口には破産手続き開始を告げる紙が貼られていた</span>
エンゼルホームの本社の入り口には破産手続き開始を告げる紙が貼られていた

 7月12日、不動産売買、建築工事を手がけるエンゼルホーム(横浜市)は横浜地方裁判所に自己破産を申し立て、開始決定を受けた。負債総額は約22億円に上り、11の金融機関から約14億円を借り入れていた。神奈川県内の不動産事業者の倒産としては2021年で最大規模だという。

 21年3月期の売上高は22億5149万円。純利益は426万円だった。企業調査会社によると、従業員数は15人前後だったという。

ベイスターズに協賛も

エンゼルホームの本社が入居するオフィスビル
<span class="fontSizeL">エンゼルホームの本社が入居するオフィスビル</span>
横浜駅から徒歩圏のオフィス街に本社を構えていた

 同社は神奈川県内の成長企業として、地元プロ野球チームの横浜DeNAベイスターズや、プロバスケットボールチームの横浜ビー・コルセアーズなどに協賛もしていた。また、元プロ野球選手がエンゼルホームに入社し、新聞で紹介されたこともある。

 エンゼルホームは02年に現取締役の中村照明氏が創業。当初は一軒家の建て売りなどを事業の柱としていた。

 現社長の橋本良樹氏は大手不動産会社を経て08年に入社し、社長に就任。株式も橋本社長が保有している。

 橋本社長の下でエンゼルホームは成長を遂げる。神奈川県からは11年度の「経営革新計画承認企業」に選ばれるなど、経営手法も評価された。承認理由は、子育て世代を意識した住宅の企画開発だった。社内の子育て経験者のアイデアを取り入れた、子育て世帯に適した設計の住宅を売りにするなど、魅力的な住宅を提供した。

 その後、戸建て物件中心から、収益物件事業へ本格的に進出する。収益物件事業は簡単に言えば、不動産オーナーになりたい人を募集して、その人向けに投資用のアパートを建てて売ることだ。購入者は入居者からの賃料収入を得る。エンゼルホームはここでもペットと一緒に住める点を前面に打ち出した商品を開発し、神奈川県や東京都でいくつも受注した。

 収益物件事業はアパート1棟当たりの売り上げが1億円を超える案件も多く、エンゼルホームの業績は急拡大した。17年3月期に12億7500万円だった売上高は、翌年度に15億円を超え、3年後には20億円を突破した。18年には、横浜市内の住宅街から、横浜駅から徒歩圏にある現在のオフィスビルに本社を移している。

 ある取引先は、「橋本社長は営業センス、商売のセンスがあった」と、その営業力や企画力がエンゼルホーム急成長の要因だろうと分析する。企画や設計、営業は社内で力を入れつつ、施工に関してはほとんどが外注で、売上高に占める外注費の割合も高かった。

続きを読む 2/3 借り入れ依存強く

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1916文字 / 全文3392文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「日経トップリーダー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。