<span class="fontBold">みなみ・けいた</span><br> 1985年石川県生まれ。米カリフォルニア大サンディエゴ校経済学部を卒業後、2009年に大和総研に入社。東京都内の外食企業などの勤務を経て13年1月に家業であるチャンピオンカレーに入社。16年10月から3代目の社長に就任(写真:山岸政仁)
みなみ・けいた
1985年石川県生まれ。米カリフォルニア大サンディエゴ校経済学部を卒業後、2009年に大和総研に入社。東京都内の外食企業などの勤務を経て13年1月に家業であるチャンピオンカレーに入社。16年10月から3代目の社長に就任(写真:山岸政仁)

 読書の面白い点は、血肉として知らぬ間に自分の価値観の一端を担い、思わぬ人生の局面でそれを実感させられる部分にあると感じています。

『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』
著者:カート・ヴォネガット・ジュニア
訳者:浅倉久志
出版社:早川書房
価格:544円(Kindleの価格、10%税込み)

 今回ご紹介する『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』を私が読んだのは、今から10年以上前の大学生の頃でした。著者のカート・ヴォネガットは、一般的にはSF作家と位置づけられますが、その作風はどの話も不思議な寓意(ぐうい)性とシニカルさに満ちており、SFの枠組みには収まり切らない、ヴォネガットという1つのジャンルと言っていいでしょう。

 本書は米国インディアナ州のある富豪一族、ローズウォーター家の富を巡る物語です。南北戦争前後の混乱期に投機と贈賄を武器に巨万の富を築いたローズウォーター家は徐々に金融事業にも進出、批判的な政治家やメディアも金で買収し、不動の経済的基盤を築きます。

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