失敗しても挑戦し続ける

紳士服専門店に加え、ブライダルや複合カフェ、カラオケなど多角的に事業を展開。祖業であるファッション以外の事業が売り上げの4割以上を占めるまでに成長
紳士服専門店に加え、ブライダルや複合カフェ、カラオケなど多角的に事業を展開。祖業であるファッション以外の事業が売り上げの4割以上を占めるまでに成長

 マスクでの実績があったので、パジャマスーツにも躊躇(ちゅうちょ)なく踏み込めました。当社はもともとチャレンジ精神旺盛な会社なんですよ。多角化に踏み切ったのも業界では一番早かったと思います。今や複合カフェの「快活CLUB」は業界トップクラスの売り上げです。

 ただ果敢に挑戦する分、失敗も多い。私自身、入社間もなくベビー・キッズ用品を扱うキッズ事業部の立ち上げを任されましたが、8年ほどで撤退しました。

 最近で言えば、スーツのサブスクリプション事業も半年でサービスを終了しています。あまり思い出したくないですが、失敗は山ほどあるんですよ(笑)。できれば失敗したくない。でも行動しなければ何も始まりません。だから失敗から学び、挑戦を続けるのです。

 私どもが創業以来培ってきた一番の強みは着心地のいいスーツを作り、販売する力です。

 当社は東京五輪の公式服装を担当しました。プレゼンテーションで強調したのは、アスリート一人一人の体にぴったりフィットした服を提供する力です。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開会式用公式服装。選手1人当たりのフィッティングに要する時間は5分程度しかなかったという
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開会式用公式服装。選手1人当たりのフィッティングに要する時間は5分程度しかなかったという

 当社にはフィッティングができる人間が3000人ほどいます。その中から選抜した約150人が今回フィッティングを手がけました。正確にフィッティングをする力をこれだけたくさん持っているのはうちしかありません。

 日本代表選手団約1600人分の服を納期通りに仕上げるのは並大抵のことではありませんでしたが、開会式で颯爽と歩く選手の方々の姿に感動しました。

 私たちはスーツ離れに真正面から向き合わなければなりません。コロナ禍はそのためのヒントをくれました。お客様が欲しい商品をタイミングよく提供できれば、市場を広げられるという自信もつきました。

 新たな生活様式に対応した商品・サービスの開発にはチャンスがある。今こそ新しいAOKIホールディングスをつくっていくときなのだと思っています。

(この記事は、「日経トップリーダー」2021年9月号の記事を基に構成しました)

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