<span class="fontBold"> 青木 彰宏(あおき・あきひろ)</span><br>1970年東京都生まれ。紳士服チェーン、AOKIの創業者である青木拡憲(ひろのり)氏の次男として生まれる。成城大学経済学部卒業後、アオキインターナショナル(現AOKIホールディングス)に入社。2010年から現職。21年3月期の売上高は1431億円で前期比20.6%減(写真/鈴木愛子)
青木 彰宏(あおき・あきひろ)
1970年東京都生まれ。紳士服チェーン、AOKIの創業者である青木拡憲(ひろのり)氏の次男として生まれる。成城大学経済学部卒業後、アオキインターナショナル(現AOKIホールディングス)に入社。2010年から現職。21年3月期の売上高は1431億円で前期比20.6%減(写真/鈴木愛子)

Q. リモートワークの浸透で〝スーツ離れ〟が加速する中、この穴をどう埋めるか。

A. 新しい生活様式に対応する商品を開発した

 みなさん、「パジャマスーツ」をご存じですか。名前の通り、パジャマのリラックス感とスーツのきちんと感を併せ持った服です。

「パジャマスーツ」は、上下で10%税込み1万978円。スピード重視で商品開発を進めたため、モデルを用意する時間がなく、広報室長が代わって務めた。購入者は20代から70代までと幅広い
「パジャマスーツ」は、上下で10%税込み1万978円。スピード重視で商品開発を進めたため、モデルを用意する時間がなく、広報室長が代わって務めた。購入者は20代から70代までと幅広い

 素材は今回、一から開発しました。伸縮性が高く、柔らかいけれど適度なハリがあり、ラフな感じになりません。体を動かしやすく、かつきちんとした印象も与えられるので、部屋着にも普段着にも仕事着にもなります。昨年11月に発売し、累計3万着を販売しました。想定の約2倍の売り上げです。

 この一度聞いたら忘れられないネーミングがよかったのでしょう。売り上げもさることながら、各所で話題を呼び、海外の通信社にも報道されました。22カ国に配信され、シンガポールから注文が入ったり、ノルウェーの国営放送で紹介されたりしたのですよ。今までこれだけメディアで取り上げられる商品はなかったので、自然と社内も盛り上がりました。

 ヒットの要因は、他社に先駆け、タイミングよく発売できたからだと思います。昨年7月末に企画し、翌月にはサンプルを上げ、11月に発売しました。

 通常、紳士服チェーンでは1年前から商品企画に取りかかります。生地を調達して、工場と話し合いながら作っていきます。それをぐっと短縮して数カ月で商品化したのですから挑戦的な試みでした。

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