みなみ・けいた
みなみ・けいた
1985年石川県生まれ。米カリフォルニア大サンディエゴ校経済学部を卒業後、2009年に大和総研に入社。東京都内の外食企業などの勤務を経て13年1月に家業であるチャンピオンカレーに入社。16年10月から3代目の社長に就任(写真:山岸政仁)
『何も共有していない者たちの共同体』
著者 : アルフォンソ・リンギス
訳者 : 野谷 啓二
出版社 :洛北出版
価格 : 2860円(10%税込み)

 今回は、アルフォンソ・リンギスの『何も共有していない者たちの共同体』という本を紹介します。著者は米国の哲学者で、現在はペンシルバニア州立大学の名誉教授を務めています。個人的に、「会社を共同体として捉える」ことを考え続けていたため、タイトルに刺激され手に取りました。

 共同体に関する論考では、ジャン=リュック・ナンシーというフランスの哲学者が著した『無為の共同体』を契機とするものがあり、本書もその系譜に連なります。

 この共同体論に共通する問題意識とは、個人の幸せを実現するために合理的に築かれた共同体が、いつの間にか全体主義やファシズムに姿を変えてしまった過去に対する反省と言えます。

共同体に踏みつけにされる個人

 これは戦前の帝国主義的国家群や、冷戦期の共産主義政体の失敗を前提として発せられています。そして広く捉えれば、企業組織にも同じような事象を見いだせます。ファシズムとは異なるにせよ、「企業目的の達成を目指す陰で踏みつけにされる個人」という事例は身近に思い付くはずです。

 リンギスは、これがある面から見て合理的に組織された集団が当然行き着く結果だと考えます。これは一体どういう意味でしょうか。国や企業といった共同体は、「なぜ○○をするのか」という自身の行動に向けられる問いに対し、原理的には明確な理由を持っているべきだとされます。そしてその理由づけは、共同体のメンバーが共有する理念や目的や方法論によってなされます。だからこそ、経営には理念などの明確化・共有化が大切だと、私たちは考えます。

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