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約50人が集まる営業全体ミーティングの様子。社員は自席のノートパソコンからビデオ会議に参加する(写真:大亀京助)

前編から続く)

情報共有を円滑にする「自分の見える化」


 かね徳は社内での情報共有のため、TeamsとオンラインチャットのSlack(スラック)という2種類のソフトを使い分ける。

 Slackは、2018年頃から急ぎのメールを代替するために使い始めた。メッセージが届くとパソコンやスマホで着信がすぐ分かること、短文で要点だけを伝えやすいことなどを評価した。「お疲れ様です。忙しいところすみません……」といった、メールの形式的な挨拶は無駄というわけだ。

 Slackでは、1文章は2行程度までというルールを設け、素早い情報伝達を重視する。

 Slackはメールと同じく、自分の仕事のきりがいいタイミングで読めるのも利点。在宅勤務で電話を受けたときは仕事から手が離せず、手が空いて折り返すと今度は相手が出られないといったすれ違いが起きがち。こうした伝達ロスも防ぎやすい。

自分の状況を見える化

 在宅勤務の始まった4月からは、Slackの新しい用途が加わった。それが、自分の仕事の状況を関係者全員に報告する「自分の見える化」をすることだ。

Slackで自分の状況を「見える化」
誰が何のテーマで話しているか周囲が把握できるので、興味がある人が参加したり、アイデアを提供したりしやすい

 現在、かね徳ではオンラインでの相談・会議が基本になった。社員は誰かと相談したいと思ったら、前編で紹介したTeamsによるビデオ会議「ミニミーティング」をいつでも設定できる。

 ここで、「ミニミーティングを開きたいが、都合はどうか」と声をかけるのに、Slackを使う。

 ミニミーティングに参加する社員は、社内に対してSlackで「何時から誰とどんなテーマでミニミーティングを開くのか」を報告。話し合いが済んだら、会議終了を伝えるメッセージを社内に送り、話し合いの要点も書き添える。これがSlackを通じた「自分の見える化」だ。

 東村社長はそのメリットをいくつか挙げる。まず、社員は今の時間、どんな会議が社内で行われているかを把握できる。全社の動きが分かるので、興味がある内容のミーティングに参加したいときにはSlackでメンバーにすぐ連絡すればよい。

 参加は難しい場合も、メンバーに対して「こんなアイデアはどうか」「こんな視点も検討すべき」といった助言をすることができる。

 会議終了後に要点を伝えることにより、会議の成果を社内に横展開できる効果もある。

 さらに、「自分の見える化」をしておくと、オンライン会議中に別の会議に呼び出されて慌てるといった無駄も減らせる。

 社員が全員出社している状態なら、誰が会議室に入っているかを把握できるので、電話をかけるのは会議の後にしようといった自制が働く。在宅社員が増えた中で誰が会議中かを把握するのは難しく、周囲に「自分の見える化」をすることが役立っている。

 Slackを使って相手を呼び出した後、会議の本編はTeamsによるビデオ会議で進める。細かいニュアンスを共有するには互いの顔が見えるほうがいいからだ。