誰もが「指示待ち」の会社ではこの先、生き残れない──。日本茶関連包装資材の製造販売会社、吉村を実父から継いだ橋本久美子社長は、全社員参加型の経営を追求してきた。自律的に考え、行動する社員を育ててきた仕組みの1つが、1人当たりの発言時間を20秒に制限する独特の会議手法だ。

<span class="fontBold">全社員が参加して10月に行われる経営計画発表会。2019年までは200人以上が一堂に会し、数人のグループに分かれて会議を繰り返した。現在はZoomによるオンライン開催に移行</span>(写真:吉村提供)
全社員が参加して10月に行われる経営計画発表会。2019年までは200人以上が一堂に会し、数人のグループに分かれて会議を繰り返した。現在はZoomによるオンライン開催に移行(写真:吉村提供)

<目次>
1.「1人の発言時間は20秒」 会議改革で指示待ち社員が消えた
2.経営計画発表会を若手がZoomで主導 行動する社員を育てる(9月14日公開)


 1932年に祝儀用品の加工販売業「吉村英一商店」として創業した吉村(東京・品川)。現在は日本茶のパッケージをはじめとする包装資材の企画、デザインから印刷まで一貫して手がけるほか、茶器、ギフト用品など日本茶関連商品を幅広く企画販売する。販売先は全国に約8500ある日本茶専門店(お茶屋)や量販店だ。

<span class="fontBold">日本茶のパッケージだけでなく菓子や雑貨、ギフト商品の企画も行う</span>(写真:都築雅人)
日本茶のパッケージだけでなく菓子や雑貨、ギフト商品の企画も行う(写真:都築雅人)
<span class="fontBold">日本茶をドリップ式でいれる「刻音(ときね)」。クラウドファンディングも利用して販売に乗り出した</span>(写真:都築雅人)
日本茶をドリップ式でいれる「刻音(ときね)」。クラウドファンディングも利用して販売に乗り出した(写真:都築雅人)

 日本茶の業界にも、昨年来のコロナ禍は大きな影響を与えている。百貨店などの売り場が相当期間閉まった上、人が集まる法事などの機会が激減し、返礼品としての日本茶の需要が低迷した。東京五輪の開催によって見込まれていた日本茶関連のインバウンド需要も宙に浮いた。

 外部環境が激変する中、吉村の社内でも大きな変化が起きた。

 「社員の命を守ること。倒産しないこと。この2つは絶対に手放さない」。3代目の橋本久美子社長は、2020年4月7日から本社勤務社員を対象に在宅勤務を開始。デジタルに急激にかじを切ることになった。

 それから1年余り。在宅勤務は定着し、本社だけでなく全国6カ所の拠点でも出社・在宅にかかわらずオンラインでのコミュニケーションが急増した。取引先との商談や、新商品の内覧会などもZoom(ズーム)などを使いオンラインで行うことが増えた。ITが苦手という日本茶専門店には、マンツーマンでZoomの使い方を教えることもある。

 吉村のこうした変化対応のスピードは、現場の社員の発案と行動が生み出すもの。その原点の1つが、社内のコミュニケーションを大きく変革した会議である。吉村の会議がどのように根づいているのか、コロナ禍によってどう変わったのかを追ってみよう。

続きを読む 2/3 上意下達では持たない

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