一般的なアパレル企業の原価率が20~30%のところ、ワークマンは65%。 それでもチェーン全店売上高に対する経常利益率は17%を確保している。 なぜこんなことが可能なのか。

 PB(プライベートブランド)商品を、同社の成長ドライバーへと育て上げた 小濱英之社長のインタビューからその秘密を探る。


<特別リポート全体の目次>
・原価率は他社の倍!それでも儲かるワークマンの圧倒的商品開発力
・ワークマン小濱社長「半端な工夫では原価は下がりません」


ワークマンには「機能と価格にこだわる」という軸があり、決してぶれない。ユーザーが満足する商品を作るために、さまざまな工夫でコストを下げる。長年、商品開発に携わってきた小濱英之社長がその舞台裏を明かす。

<span class="fontBold">小濱英之(こはま・ひでゆき)</span><br />ワークマン社長<br />1990年ワークマン入社。2011年、商品部海外商品部長に着任。PB商品開発に携わり、高機能で低価格な商品づくりに取り組む。18年9月、運営責任者として「ワークマンプラス」1号店を立ち上げ、客層拡大を推進。19年4月から現職
小濱英之(こはま・ひでゆき)
ワークマン社長
1990年ワークマン入社。2011年、商品部海外商品部長に着任。PB商品開発に携わり、高機能で低価格な商品づくりに取り組む。18年9月、運営責任者として「ワークマンプラス」1号店を立ち上げ、客層拡大を推進。19年4月から現職

原価率65%はアパレル業界ではあり得ないほど高い数字です。なぜ低価格で販売できるのですか。

小濱:何か1つのことをすれば安くなるというほど甘くはありません。さまざまな努力が積み重なって、圧倒的な低価格が実現できるのです。

 過去に一度、為替の問題で、売れ筋の作業ズボンを980円から1280円に値上げしたことがあります。当社としてはやむを得ない決断だったと思っていますが、結果として、その製品の売り上げは大幅に下がり、客離れにもつながりました。

 作業服は消耗品で購入頻度が高いので、お客様は価格に敏感です。それ以降は以前にも増して、品質を下げずに低価格を維持する努力を続けています。

売価を据え置きにして、商品の品質を高めるために、具体的にどんな工夫をしているのですか。

<span class="fontBold">累計85万着を売り上げた、PBのロングセラー商品「透湿レインスーツSTRETCH」</span>
累計85万着を売り上げた、PBのロングセラー商品「透湿レインスーツSTRETCH」

小濱:PBのヒット商品「透湿レインスーツSTRETCH」を例に説明しましょう。湿気を服の外に逃がすので蒸れにくいレインスーツで、PB商品開発を始めたばかりの頃の商品です。

 当時、伸縮自在のストレッチ素材が注目を浴び、アウトドアウエアやスポーツウエアなどに使われ始めていました。この素材を使って何か作れないかと考え、最初に商品化したのは、「クライミングパンツ」です。

 この商品の最大の特徴は、股の部分のマチを幅広くすることで180度開脚できること。おかげで作業中、しゃがむときに楽なのです。

 次に作ったのが透湿レインスーツで、袖の部分にクライミングパンツの縫製方法をそのまま使っています。今までは脇に縫い目があるために、肩が突っ張って腕が上げづらかったのが、ストレスなく腕をまっすぐ真上まで伸ばせるようになりました。

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