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 コストダウンと聞くと、「耐える」イメージを持つ人は少なくない。

 従業員の中には「カラーコピーの禁止」や「無駄な電気代の節約」を思い浮かべる人もいるだろう。

 ただ、本特集が意味するコストダウンは、そうしたものではない。事業モデルや事業戦略といった「経営の根幹」に関わるものだ。

 本特集は戦略的にコストダウンを実施し、成功している好例を紹介しつつ、今、すべきコストダウンの最善手を考える。


(写真/PIXTA)
<特集全体の目次>
・「業務スーパー」創業者が行商時代に気づいたローコスト経営の本質
・中小企業がやりがちな、コストダウン5つのNG!
・原価率を75%→60%に、3代目社長の大胆な挑戦
・トレーの上のパンを自動認識するAIレジ導入の効果とは?
・従業員に不満を抱かせないコスト削減のコツ
・「その改善効果は年間いくら?」 計算させてコスト意識をアップ
・ホテルが客室清掃を内製化 部署横断シフトで縦割り弊害なくす

従業員に不満を抱かせないコスト削減のコツ

コスト削減を実施して、従業員の不満が高まってしまうケースはよくある。そうならないために、「コスト削減」と「従業員満足度(ES)」の関係を知っておこう。

 「コスト削減の効果はある程度出たが、従業員の不満が高まり、以前より職場の雰囲気が悪くなった」──。

 こうしたケースは長期的に捉えると「悪手」であることが多い。じりじりと売り上げが下がったり、離職者が増えたりするなど、副作用が生じてくる。そうなっては本末転倒だ。

 コスト削減策は、「従業員満足度」(以下ES=Employee Satisfactionの略)を踏まえて打たなければ持続しないといえる。まずはESを重視したコンサルティングを手がけるヒューマンブレークスルー(福岡市)の志田貴史代表にコスト削減とESの密接な関係を聞こう。

コロナ禍でより重要に

 「コロナ禍で従業員は2つの不安を抱えている。(1)感染リスクの健康不安、(2)現在の会社でキャリアを歩み続けることが良いのかというキャリア不安だ」(志田社長)。今のビジネスパーソンは、(1)で漠然とした不安を抱え、在宅勤務などで考える時間ができたことで(2)のようなキャリア不安を抱えているという。