コストダウンと聞くと、「耐える」イメージを持つ人は少なくない。

 従業員の中には「カラーコピーの禁止」や「無駄な電気代の節約」を思い浮かべる人もいるだろう。

 ただ、本特集が意味するコストダウンは、そうしたものではない。事業モデルや事業戦略といった「経営の根幹」に関わるものだ。

 本特集は戦略的にコストダウンを実施し、成功している好例を紹介しつつ、今、すべきコストダウンの最善手を考える。


(写真/PIXTA)
(写真/PIXTA)
<特集全体の目次>
・「業務スーパー」創業者が行商時代に気づいたローコスト経営の本質
・中小企業がやりがちな、コストダウン5つのNG!
・原価率を75%→60%に、3代目社長の大胆な挑戦
・トレーの上のパンを自動認識するAIレジ導入の効果とは?
・従業員に不満を抱かせないコスト削減のコツ
・「その改善効果は年間いくら?」 計算させてコスト意識をアップ
・ホテルが客室清掃を内製化 部署横断シフトで縦割り弊害なくす


 東京・駒場東大前駅から徒歩3分、緑豊かな閑静な住宅街にある人気のベーカリー「ル・ルソール」。同店オーナーシェフの清水宣光代表は、フランスのベーカリー、メゾンカイザーの国内初出店に携わり、パリの本店で修業した後、2006年に26歳でル・ルソールをオープンした。厳選した素材から生まれる香り豊かな数々のパンは、愛好家の間でも人気だ。

 この店が昨年導入したのは、AI(人工知能)レジ「ベーカリースキャン」だ。このレジの仕組みはシンプル。トレーの上にあるパンの種類をカメラで瞬時に識別し、合計金額を表示。対面する2つのモニターで従業員とお客で互いに内容(パンの種類や金額)を確認した上で精算に進む。お金はお客が自分で投入口に入れるセルフ型である。

AIレジを導入してレジ業務の効率をアップさせ、コストを削減。今後は従業員の働きやすさを高めつつ、新型コロナウイルスへの感染も防止するため、大規模な改装を計画している(写真/菊池くらげ)
AIレジを導入してレジ業務の効率をアップさせ、コストを削減。今後は従業員の働きやすさを高めつつ、新型コロナウイルスへの感染も防止するため、大規模な改装を計画している(写真/菊池くらげ)

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