経験豊富な税理士が見た「社長! それやめませんか?」と言いたくなる現場。ここでは、そんな現場体験の中から、4つのストーリーを紹介する。

<目次>
第1話 社長!引退宣言をしたなら、もう口を出すのはやめましょう
第2話 社長!新会社を設立するのはよく考えてからにしましょう
第3話 社長!税理士に相談せずに登記をするのはやめましょう(8月19日公開)
第4話 社長!贈与の仕方によっては、もっと節税効果が出ますよ(8月20日公開)

第2話 社長!新会社を設立するのはよく考えてからにしましょう


社長:「先生、今度、自社ブランドでニットのセーターを販売するので新会社を設立しようと思っているんですよ」

税理士:「おっ、いよいよ自社ブランドですか」

社長:「今までは材料の毛糸だけを取り扱っていましたが、事業を広げて製造も始めようかと」

税理士:「でも、新会社ではなく、今の会社の一部門として立ち上げたらどうですか」

社長:「新たなチャレンジなので、心機一転、新会社を設立したいと思っているんですよ」

税理士:「新会社にすると赤字が出た場合、税務上、有利にならない欠点があります。それでもいいですか」

社長:「え!? そうなんですか?」


 新しい事業を立ち上げたいとき、どのような組織で始めるかは悩ましいところです。

 上記の社長のように、新会社を設立し、新規事業の損益を既存事業と切り離したい気持ちは分かりますが、それだと管理コストが増します。安易に「新会社を設立して勝負する!」と考えると後悔することになるかもしれません。

 金融機関も新設会社をグループ会社の一部として評価するので、借り入れを申し込むたびに全社の決算書を提出しなければなりません。会社の一部門として立ち上げていれば、部門別損益計算や本支店会計で十分把握できるケースが多いのに、です。

会社は簡単に設立できる

 2006年の会社法の改正により、「一人会社」の設立が簡単にできるようになり、現在は1日200件のペースで法人の設立が進んでいます。

 今は会社を退職して起業する人などが、個人事業主の過程を経ずに会社を設立するケースが増えています。

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