第7回は、愛知県常滑市のマエダモールド3代目、前田茂臣(しげおみ)社長と妻の前田一美(かずみ)氏。前田社長は、常滑焼の石膏(せっこう)型作りの会社を承継し、機械工学の知見で事業領域を広げ、一美氏は「人工ボディ事業部」を立ち上げた。同社は、夫妻で事業変革に取り組んでいる。

 マエダモールドは1954年、前田社長の祖父が創業した、常滑焼の石膏型を作る会社だ。

 常滑焼といえば、赤い急須のイメージが強いが、明治時代には、建築用のレンガやテラコッタ、上下水道用の土管を大量に製造し、日本の近代化に貢献した歴史がある。マエダモールドは、これら常滑で作られる焼き物や衛生陶器などの石膏型を作ってきた。

 前田社長は73年生まれ。地元の高校を卒業後、信州大学で機械工学を学び、長野県の精密機械メーカーに就職、ステッピングモーターの設計を3年間担当した。いずれ家業を継ぎたいと思っていた前田社長は、長野で結婚した妻の一美氏と常滑に戻り、2000年にマエダモールドに入社した。

かつては図面がない仕事だった

 当時同社では、職人が注文を受ける際、設計図はなかったという。「ほかの業界から見れば、図面なしに製造するなど信じられないかもしれない」と前田社長は苦笑する。

 前田社長は自社にも設計図を導入、製品の精度を高めたことで、企業の研究部門からの特注品の依頼が来るようになった。3Dスキャナーも導入し、建築文化財の修復事業なども手がけるようになった。

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