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約20年前から着物リサイクル店としてパイオニア的存在だった。近年、同業他社の台頭を許し、劣勢に立たされていた。業績悪化の中、コロナでの店舗休業を余儀なくされ、資金繰りに窮した。

東京山喜の本社機能があったビル

 新品の着物の10分の1の値段でリサイクル品が手に入る――。

 この特長を武器に着物リサイクル店を展開していた東京山喜(東京・江戸川、登記上は東京・中央)が2020年4月20日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請した。負債総額は12億8100万円だった。

 東京山喜は創業96年の老舗だ。1924年に中村健一社長の祖父である中村喜代蔵氏が京都で白生地問屋を立ち上げたのがルーツ。

 法人化したのは61年のことだ。中村社長の父の喜久蔵氏が東京に進出し、東京山喜を設立。喜久蔵氏は東京友禅などの製造卸に業態を転換し、会社を発展させた。

 その後、バブル崩壊後の消費不況で呉服市場が縮む中、中村社長が93年に3代目に就任した。局面を打開するため、中国での着物製造やアパレルのOEM(相手先ブランドによる生産)などに取り組んだが、結果的にどれもあまりうまくいかなかった。

斬新なビジネスモデル

 試行錯誤の末、小売りへの進出を決意。99年に着物リサイクル店のビジネスモデルを考案し、他社に先駆けて事業を始めた。 

 主な屋号は「たんす屋」。直営約30店、フランチャイズチェーン(FC)で約60店の合計約90店(経営破綻当時)を展開していた。

全国に約90店を展開していた(写真の店は本文中の加盟店オーナーの店とは異なります)

 ビジネスモデルは下の図の通り。たんす屋の店頭や宅配便で一般顧客から着物を引き取る。それらの着物を本部や一部店舗が査定して買い取り価格を決める。

確立した事業モデルだった
●着物リサイクルの仕組み
家庭のたんすに眠っている古い着物を、本部が買い取り、クリーニング会社へ送る。そこで再生した着物を、本部を通じて店舗に供給する

 売り手である一般家庭に訪問する出張買い取りも手がけており、その場合には現場で査定し、買い取り価格を決める。

 こうして集まった着物の販売価格を本部が決め、クリーニングや除菌・消臭加工などをした上で、店頭に商品を供給し、一般顧客向けに販売する。

 着物一式を新品で買う場合の約10分の1に当たる、1万円前後の値段で購入できるとあって話題を呼んだ。