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 老舗の酒蔵で経営改革を断行した若手経営者、平和酒造(和歌山県海南市)の山本典正氏。このシリーズ対談では、若きトップの目を通じて中小企業の新たな道筋を考える。

 今回の対談相手は、一般社団法人ベンチャー型事業承継の山野千枝代表理事。若手後継者が新たな事業に挑戦するためのサポートを続ける。

 家業の永続的な発展には、親子で本気のぶつかり合いをすることも欠かせない、と同意する2人が、ベンチャー型事業承継成功への秘訣を語った。

「変革した後継ぎの共通点はハードランディング」
後継者のイノベーションが地域の経済を活性化する、と語る山野氏(右)と山本氏(左)(写真/太田未来子)

山本:山野さんは、いわば中小企業の若手後継者たちの「母」のような存在。関西圏の複数の大学で「ガチンコアトツギゼミ」を手がけたり、「ベンチャー型事業承継」を政策提言して若手後継者の学びの場をつくったりと、家業の新たな価値を創造できる次世代を育成すべく、活動の幅を広げてこられました。

 数々の事例を知っておられると思いますが、若手後継者の挑戦を支援する中で、どこに課題を感じますか?

山野:アトツギのほとんどは古くからの常識ややり方が残るようなレガシー産業の人です。地方だから、人が採れないから、零細だからと新しいことができない理由を列挙する人も多い。