『嫌われる勇気』の著者で、哲学者の岸見一郎氏がリーダーのあり方を説く連載の第30回。リーダーを大きく4タイプに分け、その特徴について論じる2回目。今回はマイペースなリーダー。岸見氏が示す意外な良さとは。

 前回、課題を解決することを重視する人と、課題の解決よりもそれをめぐる対人関係のほうを重視する人がいるという話をしましたが、課題か対人関係かのどちらか「だけ」を重視する人はいません。「大体において」課題の解決に関心のある人と、対人関係に関心がある人とに分けることができるという意味です。

 昔、母が脳梗塞で入院していたことがあるのですが、ずっと点滴をしていたので、そのうち血管がうまく探り当てられなくなりました。その年就職したばかりの看護師さんは好感の持てるいい人でしたが、自分では針の交換ができないので、必ず先輩の看護師さんを呼びに行っていました。

 その先輩は一度で確実に針を入れることができました。問題はこの看護師さんは偉そうで気を遣わなければならないことでした。

 どれほど人柄がよくても技術がなければ看護師としては不適格ですが、それでは技術があればいいかといえばそうではありません。キュア(治療)のみならずケアも看護の仕事なので、患者や家族とよい対人関係を築けない人も看護師としては不適格なのです。

 リーダーの仕事についていえば、仕事に必要な技術や知識を持っているだけでは十分ではありません。顧客や部下とよい対人関係を築いていくことも仕事です。課題の解決か対人関係かのどちらかに重点を置きすぎてしまうと、課題解決を重視する人は対人関係の、対人関係を重視する人は課題の解決について問題が起こります。