いまだに「お客様は神様」なのか──。顧客からの理不尽な要求や悪質なクレーム、嫌がらせや暴力を指すカスタマーハラスメント(カスハラ)がこの2、3年で注目されるようになった。社会的なストレスの増大、最近はコロナ禍によるさまざまな制約もカスハラの増加に拍車をかけている。従業員の安全配慮義務上からも、経営者はカスハラへの対策を迫られる。さらに問われているのは「我が社の顧客とは誰なのか」だ。

(写真/PIXTA)
(写真/PIXTA)
<特集全体の目次>
・中小企業にもカスハラ対策が迫られる
・顧客対応の現場で重要な「グレーなクレーム」の見極め(8月4日公開)
・顧客と企業の関係性からカスハラなくす(8月5日公開)


中小企業にもカスハラ対策が迫られる

カスタマーハラスメントに悩まされる現場はこの数年で急増している。小売り、流通、サービスや介護の現場で顕著だ。国や行政の取り組みも進みつつある。厚労省は企業向け指針を今年度に作成する。
<span class="fontBold">写真はイメージです</span>(写真/PIXTA)
写真はイメージです(写真/PIXTA)

 この数年、接客や顧客対応の現場で問題となっているカスタマーハラスメント(カスハラ)。最近も、インターネットを通じてその現場が広く知られ、注目を集めた「カスハラ事件」があった。

 2021年5月25日の深夜、東京・亀戸の弁当販売店「キッチンDIVE」に男性2人が訪れた。男性客は購入した弁当を温めるよう店のスタッフに依頼したが、店は新型コロナ対策で店内の密集を避けるために電子レンジを撤去しており、温めはできないと返答。

 その後、弁当の返品をめぐって男性客が激高し、2人のスタッフに向かって「アホ、クズ」など暴言を浴びせた。さらには硬貨と紙幣をスタッフに投げつけて「金を払ったら客だろうが」とすごみ、脅迫めいた言葉も口にした。

 キッチンDIVEは都内に3店舗を経営する。店舗には3年前からウェブカメラを設置し、ユーチューブに中継動画を常時配信している。店内の弁当の在庫状況や混み具合がリアルタイムで分かる上、24時間営業のためセキュリティー対策にもなるという狙いだ。カスハラ客の振る舞いがそのままユーチューブで流れたためにネット上でも話題になった。

 同店の例は、動画を配信していたためお客の振る舞いがネットを通じて大衆の目にさらされたが、表面に出てこないカスハラ事例は増加しているという。

続きを読む 2/3 厚労省はマニュアルを作成

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1763文字 / 全文2961文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「日経トップリーダー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。