みなみ・けいた
みなみ・けいた
1985年石川県生まれ。米カリフォルニア大サンディエゴ校経済学部を卒業後、2009年に大和総研に入社。東京都内の外食企業などの勤務を経て13年1月に家業であるチャンピオンカレーに入社。16年10月から3代目の社長に就任(写真:山岸政仁)
『増補 責任という虚構』
著者 : 小坂井敏晶
出版社 : 筑摩書房
価格 : 1760円(10%税込み)

 今回は比較的新しい書籍『責任という虚構』を紹介します。著者の小坂井敏晶氏はパリ第8大学心理学部で准教授を務める社会心理学者です。本書は、私たちが社会で否応なく向き合わされる「責任」という概念が社会において果たす役割を、新たな観点から紐解く一冊です。

 私たちは、日常的に責任の所在を気にし、いざとなれば何らかの形で責任を取ることを当然の前提としています。信賞必罰が組織運営の基盤であり、行動に責任が生ずることや、トラブルになった際に責任を追及されること自体に疑問を持つ人はほとんどいないのではないでしょうか。

 タイトルが示唆する通り、本書はこのような責任という概念のあり方に疑問符を突きつけるものです。結論を先取りすれば「責任とは、突き詰めても因果関係を説明できるものではなく、社会を安定させるためのフィクション(=虚構)である」というものです。これはどういう意味でしょうか。

真の意味で「自由な意志」などない

 何かの行為に責任が生ずると考える前提として、「その行為が自由に自己決定された意志によって為されている」という考え方があります。言い換えれば、「その原因となった行為を、自らの意志によって『しない』選択ができた」という前提が必要です。

 裁判において被告の精神疾患などを理由に責任能力が争われるのは、認知能力の低下や不全によって、被告が「自ら選べず環境にやらされた結果」であれば、本人の責任ではないと判断されるからです。

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