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 コロナは終息の見通しがつかず、世界規模で経済活動は大打撃を受けている。こうした状況下でも知恵を絞り、次の一手を打っている企業はある。

 本特集はそんな企業の中でも「発想や工夫が素晴らしい」「これからもっと需要が高まりそう」という、アフターコロナで期待できるビジネスモデルを紹介する。

 事業転換や新規事業の立ち上げを検討している人は、そこからヒントを得てほしい。それでは早速、見ていこう。


(写真:下段中央/菊池一郎)
<特集全体の目次>
・画面の向こうに魅力や熱量をどう届けるか
・既既存手法をひとひねり、知恵を使って売り上げアップ
・新ビジネスモデルを生むためにすべき「4つのこと」
・対面が困難な、テレワーク時代に効く営業戦略
・ものづくり支援や高級食材ロス削減、コロナ禍をチャンスに変える
・宅配急増、効率化目指し物流の新ビジネス続々
・海外の急成長ビジネスから新規事業に生かすヒントを得る


サブスク美容院

来店頻度を高める工夫で、顧客との関係強化

 コロナの感染拡大により、お客との接触を避けられない美容院業界は大きな影響を受けた。 そんな状況の中、昨年開店したばかりなのに高い売り上げの店がある。サブスクを核とした戦略とは?



 ユーフォリオ(東京・渋谷)が都内で展開する美容院「Attina(アティーナ)」。2019年に開店した恵⽐寿店は20年4月期に売上高約7500万円を記録した。大久保誠二社長は「美容院業界では、恵比寿店と同じ美容師5人の店は、平時でも5000万円あれば相当高いので突出した数字」と胸を張る。20年5月に開いた表参道店もそれに匹敵する売上高を見込む。

顧客満足を考えて、店はもともとゆったりとしたレイアウトにしていた

 アティーナは、会員がサービスを定額で利用し放題というビジネスモデル。サブスクリプション(定額課金)、いわゆる「サブスク」のメリットは経営者にとって大きい。毎月の売り上げを見通しやすく、安定した経営が期待できる。

 アティーナの場合、月額2万3000円から3万5000円の4つの料金コースを用意し、カットやパーマ、カラーリング、ヘッドスパなど最大11のメニューを会員に提供する(税別、一部は回数制限あり)。

毎月来店してもらう方法

 一般的に美容院への来店は2カ月に1回程度、恵比寿のような激戦区の客単価は1万円台前半と見られる。アティーナが月額制、しかも一見割高な料金設定なのに成功しているのは、大久保社長が顧客満足に徹底してこだわり、仕組みに落とし込んでいるからだ。

キラーメニューの1つである形状記憶トリートメント

 具体例の1つが、オリジナリティーのある2つのメニュー。「形状記憶トリートメント」と、毛穴や髪を洗浄する「マイクロバブル」はお客のニーズを満たし、他店との差別化に成功している。

 注目すべき点は、これらの効果を維持するには、形状記憶トリートメントが1カ月に1回、マイクロバブルは2週間に1回の施術を受ける必要があること。「この2つのキラーメニューは、付加価値が高い。さらに、来店頻度を高めるのに効果的だから用意している」と大久保社長は説明する。

 アティーナのサブスクは、会員が2週間に1回来店する前提で考えられている。そのため一般的な2カ月に1回の来店と違って、お客と美容師との関係性や会話がブツ切りにならず、より深まる。