全3449文字

 緊急事態宣言の解除後も、在宅勤務や時差出勤が定着しそうだ。社員同士の交流が薄れ、会社と社員の距離が遠くなってきた。コロナで激変した会社の将来や、自分の生活の今後に不安を感じ、在宅勤務をしながら、転職活動に動き出す人も出ている。

 「ニューノーマル」と言われる、新しい働き方の時代、社員とコミュニケーションを深めるにはどうすべきかを探った。


<特集全体の目次>
・総論:「在宅増加による対話不足が“コロナ転職”招く」
・コロナ後、1日の仕事のリズムはこうつくる
・新常態の社内コミュニケーション よくある悩みに答えます
・やるならとことん楽しく! ジャパネット流コミュニケーション術
・話しやすい仮想オフィスを、画像のない音声チャットで実現
・「在宅勤務で作業の進捗確認は不要」識学 安藤社長


コロナ禍でのコミュニケーション術が注目を集めるジャパネットホールディングス。非対面のコミュニケーションをどう活性化させ、社員の心をつないだのか。「最強の2代目」の呼び声も高い髙田旭人社長に聞いた
毎日10回ものオンライン会議をこなすなど、髙田社長自身もほとんど自宅で仕事をしていたという

 私が5月末までの2カ月間、心がけたのはとにかく発信し続けることでした。新型コロナウイルスの感染拡大でこれから会社がどうなるのかと、社員は不安に違いないと思ったからです。

 ジャパネットホールディングスでは4月1日からリモートワークに切り替えましたが、その数日後には、全社員に向けてオンラインで1時間かけ、今後の会社の方針を説明しました。これは社員をはじめ、そのご家族や当社に常駐してくれている業務委託のみなさんも閲覧可としました。

 このときまず、従業員とその家族の安全、命を守ることが最重要であると伝えました。さらに在宅勤務導入前に、従業員約3000人の実態調査をし、その結果を踏まえて定めた出勤・在宅勤務の基準も説明しました。

 例えば、従業員本人が「持病がある」「高齢」「妊娠している」などに該当する場合や、同居人に感染リスクの高い人がいる場合は在宅勤務を基本にするといった指針です。明確な基準をはっきり示し、社員に安心してもらうことがコミュニケーションの第一歩と考えたのです。

 在宅勤務が始まってからは、毎週月曜はオンラインの全体朝礼に参加し、会社として決めたことや、今起こっている状況を包み隠さず話しました。社内向けのイントラネットでも、通常より頻度を上げて社員にメッセージを送っています。今まで以上に、社員と直接、意思疎通する機会が増えたなという実感があります。

 また当社には、社長の私と、役員と管理職の約170人が、定期的に1対1のメールのやり取りをするという仕組みがあります。業務連絡が目的ではなく、今何を考えているかなどを自由に書いてもらっています。

 今回これが役立ちました。対面で接する機会がなくなると、社員の微妙な心の変化や悩みなどに気づきにくくなるからです。このメール交換を通して、現場の社員が今どんな気持ちでいるかを知ることができました。

 非対面のコミュニケーションが増えるこれからの時代、リーダーは想像力をいつも以上に膨らませなければいけない。しかし想像力だけでは限界があります。だからこそ社員それぞれの環境や悩みを聞いた上で、仕組みに落とし込むことが必要なのでしょう。(談)