フカヒレで高いシェアを持つ、業務用中華食材の卸が主軸事業。商品や販路の偏りに危機感を持ち、メーカー機能の強化と販路の多様化を進めた。オウンドメディアでトレンドを発信し、中華ファンを増やして市場拡大を目指す。

干し貝柱やフカヒレなど海産物卸として1953年に創業し、髙橋社長は3代目ですね。広く中華食材の卸を手がける一方で、自社商品の開発や中華料理専門の情報発信サイトの運営、若手の中華シェフを支援する食堂の運営など、面白い取り組みをしています。
髙橋:当社はもともと中華料理レストランに食材を卸す2次卸でした。2代目である父の時代にフカヒレの生産加工を始め、メーカー機能を強化してきました。
フカヒレの仕入れから製造、販売まで一気通貫で可能なところは他にほとんどなく、公式な数字はありませんが現在のシェアは45〜50%くらいかと思います。
「フカヒレ中止」に危機感
髙橋:2001年、28歳で3代目社長を継ぎました。そのときに19%だったフカヒレの売上構成比がどんどん増えて5割近くになり、これはまずいなと思い始めました。
というのは当時、海外の環境保護団体がサメの保護を訴え始めて、ワシントン条約の会合でもサメが議題に上がるようになっていたからです。この論調が高まれば、有力なレストランが軒並みフカヒレの取り扱いをやめてしまう可能性もあります。そこで、フカヒレから軸足を移す新事業の構想を急ぎました。
その最中に、宮城県気仙沼のフカヒレ工場が東日本大震災で大きな被害を受けました。やっと工場が復活した途端、取引していた大手外資系ホテルが、やはりメニューからフカヒレを外すことを決めました。

そうした経緯を経て13年に立ち上げたのが、開発製造拠点「C,s Kitchen」です。これまでに関係性を培ってきた中華シェフたちの知見を生かして、オリジナルの冷凍総菜や調味料といった自社製品の開発製造、外部企業向けのレシピ開発やOEM(相手先ブランドによる生産)などを手がけています。

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