『嫌われる勇気』の著者で、哲学者の岸見一郎氏がリーダーのあり方を説く連載の第40回。今回のキーワードは「冒険」と「成功」。成功か失敗か、損得勘定にこだわるようでは冒険者とは言えない。ではリーダーは冒険をどう捉えればいいのか。

 三木清は、「生きることがそもそも冒険である」といっています(『人生論ノート』)。人生においては、大きな決断を下さないといけないことがあります。

 大きな決断をして始めたことが必ずしも成功するとは限らず、失敗するかもしれません。しかし、そうであってもリーダーは、冒険に打って出ないといけないことがあります。

 三木は次のようにいっています。

「成功を冒険の見地から理解するか、冒険を成功の見地から理解するかは、本質的に違ったことである。成功主義は後の場合であり、そこには真の冒険はない」(前掲書)

 成功したか失敗したかは冒険を評価する際の基準の一つでしかありません。ところが、成功主義者は「冒険を成功の見地から理解する」のです。

 成功主義者は、成功しないのなら冒険しないかもしれません。失敗が予想される時には挑戦しないのです。成功か失敗か、損得勘定にこだわるようでは、冒険者とはいえません。

 三木はまた次のようにもいっています。

「一種のスポーツとして成功を追求するものは健全である」(前掲書)

 スポーツでは勝敗がはっきりしますが、負けるからと競技に臨まない人はいないでしょう。もちろん、勝てると思っていても負けることはありますが、負けたとしても、また次の機会に挑戦すればいいのです。

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