鶴岡裕太(つるおか・ゆうた)
鶴岡裕太(つるおか・ゆうた)
1989年大分県生まれ。大学在学中から複数のインターネットサービスのバックエンドのプログラミングやディレクションを経験し、2012年に22歳でBASEを設立。決済の簡易化を主軸にした事業を展開し、ネットショップ作成サービス「BASE(ベイス)」などを運営。19年東証マザーズに上場。売上高99億円(21年12月期、連結)、従業員数236人(22年3月末時点、連結)。「BASE」の開設ショップ数は170万店を突破、流通総額は1000億円を超える(21年12月期)(写真/鈴木愛子)

Q.社員数が50人を超えた頃、創業当初から一緒に働いてきたメンバーが次々に退職。経営者としてどう向き合ったか。

A.組織として機能するよう、制度や仕組みを整えた

「ネットでお店を開くなら」のフレーズが印象的なテレビCM
「ネットでお店を開くなら」のフレーズが印象的なテレビCM

「ネットショップをやってみたい」。大分で洋品店を営む母のそんな一言が起業のきっかけでした。母には大手オンラインショッピングモールへの出店を勧めましたが、インターネットに関する知識に乏しく、ハードルが高かった。そこで、母のような人でも簡単にネットに店を開けるサービスをつくろうと考えました。それがネットショップ作成サービス「BASE」の始まりです。

 利用しやすさを一番に考え、初期費用、月額費用を無料にして商品が売れたときのみ手数料が発生する仕組みにしました。そうでないと母が利用しないと思ったからです。実際、いろいろと便利な機能を思いついたのですが、「母が使いこなせない」と感じたものは搭載せず、とにかくシンプルさを追求しました。

 こうした「誰にでも簡単にできる」「出店リスクがない」といった手軽さが評判を呼び、2012年11月のサービス開始からわずか1カ月で出店数は1万店に達しました。幸運なことに利用者はどんどん増えていき、事業は順調に伸びていきました。

「BASE」のサービス画面。利用には、初期費用、月額費用無料で商品が売れたときのみ手数料が発生するスタンダードプランと、月額利用料5980円(消費税10%込み)、決済手数料2.9%のグロースプランの2つがある
「BASE」のサービス画面。利用には、初期費用、月額費用無料で商品が売れたときのみ手数料が発生するスタンダードプランと、月額利用料5980円(消費税10%込み)、決済手数料2.9%のグロースプランの2つがある

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