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 多くの中小企業は長期目線での安定した経営を目指しているはずだ。新型コロナウイルス感染症の拡大は、そうした中小企業にとって、単一事業への依存がどれだけ危険かを再確認する契機となった。この危険から逃れるためには、短期的な利益率や投資効率を犠牲にしてでも、事業の多角化を目指す必要がある。

 しかし、闇雲に多角化をすれば、経営資源の分散を招き、失敗すれば倒産につながるかもしれない。そこで、地道な多角化が安定経営につながっているケースを紹介するとともに、後半には専門家が考える多角化戦略の注意点と、多角化の方向性を整理した。


<特集全体の目次>
・運送業から「地域密着サービス業」へ多角化 地域の困り事を解決
・チャンピオンカレー、コロナ禍でも健闘 オフェンシブ人材を抜擢
・事業の多角化は、全面撤退できる範囲内で試す
・有事に倒れない会社をつくる、多角化10のポイント


多角化を難しく考えてはいけない。既存顧客の困り事を聞き、1商品、1拠点を増やすだけで最初は十分。ちょっとした取り組みの積み重ねが、有事に倒れない会社をつくる。多角化を考えるための10のポイントをまとめた。

異なる客層に展開する
 地方に店舗を構える企業が首都圏に進出したり、これまで首都圏でしか展開していなかった店舗が大阪や福岡などに進出したりすることで、同じ業態であっても、客層の多角化、地域の多角化が実現できる。BCPの面でも有効。

海外に拠点を増やす
 製造拠点、営業拠点を設けることでこそ、現地に根差した新しいビジネスモデルを築くチャンスが生まれる。言語や商習慣の違いなどの障害が多いため、現地への留学や滞在経験のある人材を活用すると成功しやすい。

販売チャネルを増やす
 店舗でのみ販売している商品を小売店や通販で買えるようにしたチャンピオンカレーはこれに該当する。工業用製品を医療・介護系にも販売するといった多角化も販売チャネルの増加に当たる。特定の販路や業界への依存度を下げられる。