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 多くの中小企業は長期目線での安定した経営を目指しているはずだ。新型コロナウイルス感染症の拡大は、そうした中小企業にとって、単一事業への依存がどれだけ危険かを再確認する契機となった。この危険から逃れるためには、短期的な利益率や投資効率を犠牲にしてでも、事業の多角化を目指す必要がある。

 しかし、闇雲に多角化をすれば、経営資源の分散を招き、失敗すれば倒産につながるかもしれない。そこで、地道な多角化が安定経営につながっているケースを紹介するとともに、後半には専門家が考える多角化戦略の注意点と、多角化の方向性を整理した。


<特集全体の目次>
・運送業から「地域密着サービス業」へ多角化 地域の困り事を解決
・チャンピオンカレー、コロナ禍でも健闘 オフェンシブ人材を抜擢
・事業の多角化は、全面撤退できる範囲内で試す
・有事に倒れない会社をつくる、多角化10のポイント


CASE2 オフェンシブ人材を見つけ任せる
チャンピオンカレー(石川県野々市市)



創業 1961年
売上高 6億7500万円 (2019年6月期)
従業員数 25人


コロナショック下でも前年同期比87%で踏みとどまったカレー店。ブランドやノウハウだけでなく、人材という資源の活用が鍵。適性に応じた人材の配置が多角化の成否を分ける。
多角化に至るまでの歩み
カレーの売り方を増やしてきた

 粘りのあるルーと、付け合わせの千切りキャベツなどが特徴の金沢カレーの専門店「カレーのチャンピオン」を展開するチャンピオンカレー。現在はフランチャイズを含め全国に31店を展開する。

 飲食業はコロナショックの影響を最も受けた業種の1つだ。しかし、チャンピオンカレーの4月の売り上げは前年比で87%ほど。飲食店事業はテイクアウトなどを考慮しても70%まで落ち込む一方、通信販売やスーパーなどへの卸事業が前年比で約1.5倍の売れ行きとなり業績を支えた。