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川鍋一朗(かわなべ・いちろう)
1970年生まれ。93年慶応義塾大学経済学部卒業後、米ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院でMBA(経営学修士)取得 。マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンを経て2000年、祖父が創業した日本交通に入社。05年社長に就任。15年、社長を務めていたIT子会社の日交データサービスをJapanTaxiに改称(現社名はMobility Technologies)、日本交通会長に就任。17年から全国ハイヤー・タクシー連合会の会長も務める(写真:鈴木愛子)

Q. 新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛の影響で、タクシーの需要が大きく落ち込む中、リーダーとしてどう対応したか。

A. 不確定要素が多い中でも恐れず、決断を下した

 4月の月次決算の数字を見たとき、(あまりの数字の悪さに)卒倒するかと思いました。予想はしていましたが、それ以上でした。

 緊急事態宣言以降、人の動きがパタリと止まった。4月は前年比35%。つまり65%のダウンです。1カ月で二ケタ億円のマイナス。5月はさらにひどいでしょう。

 タクシー・ハイヤー部門が単月赤字になったのはおよそ20年ぶり。当社の2019年5月期の売上高は687億円。3年連続で過去最高益を更新していましたから、昨年の今頃はこんな日が来るとは思いもしませんでした。

生きるか死ぬかの決断

 需要が激減している中、タクシー全台を走らせると、1台当たりの売り上げが下がるので、たとえ稼働しても乗務員の最低賃金を割り込んでしまいます。そこで稼働台数を絞って、1台当たりの営業収入を少しでも担保しなければなりませんでした。

 ではどの程度、車を動かすか。その判断は非常に難しかった。大きく間違えれば事業存続に関わります。