全4390文字

事業再生コンサルタント
吉川 博文氏

倒産を防ぐ知識とセカンドオピニオンを

 債務超過に陥っていた家業を継ぎ、自力で借金減額・経営再建に成功。現在は、経営に悩む相談者の対応に追われる事業再生コンサルタントの吉川博文氏に話を聞いた。

 私のところに相談にやってくる会社は、コロナ前から業績が悪かったところと、コロナの影響で業績が急速に悪化したところの両方があります。いずれにせよ精神的に参っている相談者が多い。

コロナに影響を受けた業種は多岐にわたる
コロナ倒産の一例
出所:帝国データバンクの資料を基に編集部が作成

 極端な例ですが、こんなショッキングな相談もありました。「社長が自殺してしまった」と社員が連絡してきたのです。故人は周りからやり手の経営者と思われていたそうですが、会社はコロナ前から軽い債務超過だったようです。残念なのは、地元で誰にも相談していなかったこと。1人で思い詰めてしまったのでしょう。

 その予防策になるのが、倒産を防ぐための知識を持つことです。その情報を得るためにも、ぜひIT化を進めてほしい。中小企業の経営者は高齢で、インターネットが苦手な人が多い。かといって、プライドが邪魔したり、噂が広がることを恐れたりして商工会議所には相談に行きたがらない。

 IT化といっても、パソコンを一通り使えるレベルで構わないのです。例えば、経済産業省のホームページには中小企業向けの施策が数日おきにアップデートされています。こうした情報を知っているかどうかで、その後の経営は大きく変わります。

 セカンドオピニオンを聞くことも重要です。倒産した経営者の9割以上は自滅型。資金繰りに詰まって弁護士に駆け込み、破産を選択します。恐らく弁護士は良かれと思って、自己破産を勧めているのかもしれません。しかし法律的な解決策がすべてではなく、税理士や会計士などと一緒に活路を見いだせる可能性があるのです。

(この記事は、「日経トップリーダー」2020年7月号の記事を基に構成しました)

誤算に学ぶ経営者の本音セミナー【第4期】 7月8日から4回シリーズで開講

 本セミナーは「経営者の誤算体験を、生で、深く聞ける機会が欲しい」という日経トップリーダー読者の声から生まれました。経営というのは、成功と失敗が背中合わせです。表向きにはどんなに順調に見える会社でも、必ず何かしらの誤算や危機に直面した経験があるものです。ただ、そうした内情はなかなか外には出てきません。誤算の物語からは、成功の物語からは得られないリアルな経営のヒントが得られるはずです。経営者の講演と併せて、専門家から誤算を防ぐノウハウも学べます。7月8日、8月19日、9月25日、10月28日の4回シリーズで、毎回、講演後には懇親会も開催予定。興味本位ではなく、真剣に経営に向き合っている方のご参加をお待ちしています。

 詳しくは、こちらのセミナー案内をご覧ください。