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秩父商工会議所
中小企業相談所 所長
黒澤 元国氏

貸し渋る民間金融機関 綿密な資金繰り計画を

 ここからはコロナ倒産をよりミクロの視点で見ていく。埼玉県内で中小企業の経営革新をサポートする黒澤氏が語る。

 「資金繰りが厳しい」。深刻な悩みが寄せられるようになったのは、3月下旬からです。東京都の小池百合子知事が4月12日までの間、夜間の外出や週末の不要不急の外出を控えることなどを要請したり(3月27日)、コメディアンの志村けんさんの訃報がメディアで報じられたりするようになってから(3月30日)、相談者の数が増えていきました。

 懸念しているのは3月、4月に申し込んだ借入金が満足のいく金額ではなかった経営者が多かった点です。例えば2000万円の希望金額に対して、民間金融機関による信用保証協会の保証付き融資で借りられたのは500万円といったケースが珍しくない。

 5月に実質無利子の融資が協会の保証付きで金融機関から受けられるようになりましたが、状況はあまり変わっていません。財務状態が厳しかった中小企業は資金が早くも底を尽きつつあります。

 中小企業が本当に苦しくなるのは、恐らく夏以降で自己破産ラッシュになるのではないでしょうか。持続化給付金や家賃の猶予は効果がすぐに切れるカンフル剤にすぎず、数カ月しか持ちません。

 5月下旬には、「コロナ以前に債務者区分が『正常先』だった会社が一時的に売り上げを落としても、不良債権として扱わなくていいという方針を金融庁は改めて打ち出す」と報道されました。これは「金融機関はリスクを取って、もっと積極的に中小企業へ融資してほしい」という国からのメッセージと読み取れますが、なかなかその通りになっていないのが現状です。

 実質無利子でも、当然、元金を回収できなくなるリスクがあることには変わりません。民間金融機関はそれを嫌って、財務状態が優良な企業に営業をかける傾向が目立ちます。資金繰りに苦しむ中小企業にお金が行き渡っていないのです。

 中小企業にもお願いしたい点があります。融資の相談に来る経営者はどんぶり勘定で考えている方が多い。きちんとした試算をせずに希望金額を決めているとおぼしきケースが珍しくありません。

 経営者はまず商工会議所の相談員など専門家の手を借りながら、資金繰りのシミュレーションを数パターンしてみてください。その上で融資の相談をすれば、希望通りに金融機関が応じる可能性は高まると思います。