中小企業経営者にとって悩みが尽きない、人の問題。良い社員を採用・育成し、定着させるにはどうすればいいか。人事制度コンサルタントの松本順市氏が語る。

(写真/PIXTA)
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<シリーズ企画第2回全体の目次>
・問1 ITに詳しい人材を特別な高額年俸で採用してもいいですか?
・問2  「こんな安月給では結婚もできない」と若手がぼやく
・問3 ジョブ型にすると、働かない社員の給料を下げられる?
・問4 職務記述書にどんな要素を入れればいいか分からない
・問5 仕事はできるが、勤務態度が悪い古参をどう処遇すればいい?
問5
仕事はできるが、勤務態度が悪い古参をどう処遇すればいい?

 ある防災設備会社で、こんなことがありました。

 長年その会社に勤めるベテラン部長は仕事がよくできて、クライアントからの評判も上々でした。ただし、勤務態度が悪いのです。設置現場では、お客様がいないところでつばを吐いたり、たばこの吸い殻を捨てたりする。人々の暮らしを守る防災会社なのに、この態度は問題です。社長が注意すると「分かりました」と返すのですが、一向に態度は直りません。

勤務態度も評価する

 こうした問題が起きるのは、勤務態度の重要性がその人に認識されていないからです。私たちが提案する成長支援制度では、必ず評価項目に「勤務態度」を含めます。どれだけ成果を上げていても、勤務態度がその会社が求めるものでなければ昇給や昇格はありません。そのことを明らかにするのです。

 この防災設備会社では、人事制度を整備した上で、社長が意を決して古参社員に伝えました。「あなたは期待成果の実現度も重要業務の遂行度も申し分ない。ただ、勤務態度が悪いので、総合評価は○○点です。このままでは昇給はおろか、今の部長職を降りてもらう可能性もあります」。

 「勤務態度を改めて」と言うだけでは効果は薄いけれど、私たちが評価に使う「成長シート」に勤務態度を盛り込めば言い逃れはできなくなる。しばらくして、結局この部長は会社を辞めました。経営者はとても残念がっていました。

 会社の業績に影響が出たのではと思うかもしれませんが、実はその部長の下で萎縮していた社員たちが頑張り、それまで以上の成績を上げるようになったそうです。

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